「TOEIC意味ない!」は本当か?嫌われる理由と実情を900オーバーが解説

就職や昇進で必要になると噂されているTOEIC(主にL&R)ですが、実際にスコアが人事評価にどれほど影響するのでしょうか?また、それとは別に、履歴書に記入欄があるからにはそれなりのスコアを取りたいものです。

中には、自分の意志と反して強制的に受験させられている方、避けられるのであれば本当は勉強したくない方が結構いらっしゃるのかなーとは思うのですが、これから勉強しようって時に「Toeicでハイスコア取っても何の意味もない。」とかって声が聞こえてくると、もはやモチベーションはダダ下がりですよね?

個人的には、基本的な文法と単語、読解やコミュニケーションの土台作りという点でTOEICは良質な学習材料だと思います。ただスコアが上がるにつれて英語力を伸ばす効率が悪くなりますので、スコアアップにこだわるような勉強をするのであれば英語力の向上にはあまり期待できません。英語に興味を持ち始めた方で何から始めたらいいかわからないという場合は選択肢の1つとしてTOEICを入れておくといいかと思います。

私としては、今までTOEICを勉強していて「つまらん、飽きてきた、おもんなさすぎ」「しばらくTOEIC以外の教材で勉強しよ」と思ったことはありましたが、結果として「TOEICが無意味」に感じたことはなかった気がします。

目次

TOEICが意味ないと言われる理由

TOEICで高得点を取っても喋れないから

一番よく言われるのがコレですね。

TOEICで高得点を取っただけでは確かに喋れるようにはなってません。でもTOEICを受験してる人たちはわかってるかと思いますが、TOEICはそもそもスピーキング能力を測る試験ではありません。ましてやコミュニケーション能力とも全く異なります。

ただし、TOEICは英語を話すために必要最低限の文法事項、読解力、聞き取り力を測るテストではあります。この基礎ができてないのに喋れるというのは、元々のその「喋れる」という基準が低すぎるのかもしれません。

あとTOEIC900点以上あって全く喋れないという人を見たことがありません。今まで喋る機会がなかったという人はいましたが。

前職の新入社員研修では、TOEICスコアのみでクラス分けされた英語研修(英会話レッスンを2週間受け、最終日に10分英語プレゼン)がありました。

900点以上の方でも過去に英語を話したことがないという人もいましたし、数週間〜数ヶ月ホームステイ経験のある400〜500点台の人も少なからずいました。最初の数日間こそ過去の経験の差が見られますが、2週間もすると前者は後者の会話レベルを追い越します。単語力と文法の基礎ができている前者は今まで口から英語を発する訓練をしていなかっただけです。

最終日のプレゼンを見れば、単語と表現の豊かさ、それに伴うテーマの選定幅、オーディエンスとの相互的なやりとり等、その差がハッキリと出ます。

とまぁ一例ですが、900点を超えるような人は英語力を上げたいと常日頃思っている人たちなので、数週間の研修にしてもかなりマジメに取り組みます。プレゼンの練習量も多いはずです。デキる人ほど手を抜かない。そんなもんです。

とは言え、やはりTOEICを勉強すれば「喋れる」ようになるというレベルの話ではありません。喋りたいなら、喋るための勉強と練習をすればいいんです。多少は度胸も必要ですが、ショボイ英語を平気で喋り続ける度胸は要りません・・・

俺TOEIC300点台だけど800取ってるやつより全然喋れるよ?

実際に前の職場にいた人です…元赴任先の中東オフィスにしょっちゅう電話して「今はラマダンかどうか」を大声で聞いてました( ^ω^)

若手には昇格にTOEIC500点を課するのに、すでに管理職になっちゃってる50代以上は免除されるっていう会社が結構あります。大手とか人数多くて管理が大変なんでしょうね。なので、人事評価が公平じゃないという点では無意味なんですが、若手はやっておいた方が無難というのが現実です。

ちなみに「300台で800台より喋れる」にマジレスすると「リスニング全然できてないのに、どうやって会話してんねん」です。単語力・文法知識・読解力・聞き取り力なしで発話力だけ優れてることはあり得ず。。。適当に受けても600~700点くらい取れてしまいます。

TOEICは範囲が狭いから本当の英語力を測れない

確かに狭いです。トピックは似たようなのばっかりでつまらないし飽きてきます。ただ範囲が狭いと勉強する意味がないのかと言うと、むしろ狭いところから勉強した方が確実に定着しやすい。

多くの人は自分が満足できるところでTOEICの勉強をやめます。TOEICのスコアを上げるだけよりも、新たな教材や方法にシフトした方が伸びしろが大きいからです。範囲が広まるというより、次の範囲に移動するという感じ。

確かにTOEICは英語力の測定範囲に上限がありますが、その上限値に達するまではTOEICスコアは英語力そのものを表していると思っています。(スコアで個々を競争させるかどうかは別問題として)

TOEICは傾向や出題パターンがあるからテクニックで解ける

これはTOEICに限らず試験なんて全部そういうもんな気が。。。受験大学別に赤本があるし、司法試験にはロースクールがあります。

そもそも範囲や傾向が決まってないと、受験ごとに毎回スコアがバラバラで妥当性もそのスコアに対する信頼性もなくなってしまいます。それはそれで批判の対象になりそう。

TOEICの勉強に意味はないのか

確かにTOEICでスコアを取ったからといって喋れるようにはなりません。でも当たり前ですよね、スピーキングの要素が全く含まれてないんだから。

リスニングのスピードは遅いし、必要とされる語彙数は少ないし、トピックの内容も一律局部的、慣れといわゆる傾向と対策作戦でスコアは上昇するのも事実です。

ただTOEICの勉強に意味がないかというとそれは違います。TOEICスコアが総合的な英語力の高さを示すものではありませんが、英語の基礎の部分ができていないと高スコアを取ることは絶対に不可能です。

そういった意味で英語の基礎を構築するためにToeicを利用するのは意味があると思ってます。単なるスコアアップのためだけにTOEICを勉強することが無意味だということです。要は勉強の仕方。テクニックで取れるからといって情報収集ばっかりしていて英語力が上がるわけないですもんね。

TOEICハイスコアを目指して得られるもの【英語を喋るための土台】

慣れやテクニックも含め、TOEICでハイスコアを取得している人は以下の能力が定着しています。

  • 英文法
  • TOEICに必須の単語力
  • 読解スピード

全ての英文は文法と単語で構成されています。文法が木の幹や枝となり単語は葉っぱや花みたいなイメージです。文構造を知らなければ、読み聞きして理解することも、表現したいことを話すこともできません。そのために1.の英文法はTOEICであろうとなかろうと英語力の基礎として必須です。

また3.の読解スピードはTOEICのリーディングを解き終えるために必要な能力ですが、リスニングやスピーキングにも効いてきます。読んで理解する処理スピードが遅いのに、それより速い音声を聞いたり発したりという処理に追いつけるわけありません。

実は、英語を喋れるようになるには上記3点の基礎を固めておく必要があります。会話とは単語と文法で構成された英文を耳で聞き、口に出して喋るということです。

「Toeicで高得点でも喋れないんでしょ?」

Toeicは喋ることを求めらる試験ではありませんが、喋るのに必要な英語の基礎がなければスコアを取れない試験です。内容がビジネスだろうが、趣味・雑談であろうが使われる単語が異なるだけで英文構造は変わりありません。英語の基礎作りはToeicでなくてもできますが、手段の1つとして捉えてみてはどうでしょうか。

結局TOEICは勉強したほうがいいの?

やりたくなければやらなければいいし、TOEIC以外の教材や手段を使って勉強してもいいです。

ただ現状、日本では人事評価においても1つの指標になってますので、個人的にはさっさと必要なスコア(700~800点くらい)は取っておくのが無難かと思います。「そんな基準はおかしい!!」と言っても結果として何も変わりませんし、勉強した分だけスコアは比例して上がります(/・ω・)/

勉強がつまらなくなってきたら卒業もしくは一旦中断するのもアリです。というのもTOEICで扱われるトピックって変化がない上に究極につまんないので。イヤイヤ勉強してるとモチベーションも下がって英語嫌いになっちゃいます。

私も720→815→850で一度TOEICの勉強は断念しており、洋書や映画を楽しんだり、ヒアリングマラソンやオンライン英会話といった他の教材にシフトしたりしてました。そのあとレベルチェックのつもりで再度TOEICに挑戦して900オーバー達成という流れです。

イヤイヤと書きましたが、TOEICの勉強をする過程で、スコアアップとともに苦手部分や文法知識の抜けを発見し埋められたことに関しては恩恵を感じています。嫌われ者のTOEICですが、うまく活用すると英語の基礎固めには最適な学習素材となります。必要性は人それぞれだとして、TOEICを勉強する意味は「英語力の底上げ」という視点では十分に有ります。というのが私個人の結論です ٩( ‘ω’ )و

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 個人的な見解ですが、長年の業務や面接などを通じて得た経験から、TOEICが無意味と言われる理由はやはり
    「TOEICで高得点を取っても喋れない・書けない・聞けない・読めない人がいるから」
    に尽きるんじゃないかと思います。というのも、おっしゃる通り
    >TOEICは英語を話すために「必要最低限」の文法事項、読解力、聞き取り力を測るテスト
    でしかないからです。

    以前の職場の同僚で、TOEIC最高980点のA君と985点のB君がいました。いずれも30代後半。

    A君は独学でTOEICの勉強をしただけで海外経験などは非常に乏しく、英文を書くにも辞書を引きながらでしたし、書く文章も(400点台の人間などよりは余程ちゃんとした文章を書きますが)不自然な英語が目立っていました。
    英語での面談となると発言は非常にたどたどしく、意味の通じない表現も多く、とてもじゃありませんがネイティブのクライアントとの議論などは出来ません。
    議事録を書かせてもネイティブの素の喋りだと聞き取れていない部分が多く、書く内容もやはりそれを反映したものでした。
    一人で海外出張に「行くこと」は出来ても、そこで一人で仕事は出来ないというレベルです。

    一方のB君は非常に流暢です。米国大学院を卒業しており、英語の学習に費やした時間や、「言語」として使った経験はA君の比ではありません。
    もちろん読み書き聞き話すことに不自由はなく、レポートも流暢な英語で非常に的確に纏められていました。
    (注 英語力の比較だけであって、A君も非常に優秀でした)

    ご存知の通り、いくらTOEIC900点台後半だろうが、テスト勉強しか経験のない人間が数週間やそこら喋ったり書いたりの練習をしたところで実用レベルには到底なり得ません。
    こと「英語力」だけで言えば、2人の間には、恐らく数万時間に及ぶ経験差があったものと思われます。

    …しかし、これをTOEICを基準にしてしまうと、どちらも似たような点数の高得点ホルダーという括りにしかならないんです。
    これが「TOEICなんて無意味」と言われる理由だと思います。

    それはすなわち、(他ならぬA君自身がよくそれを言っていましたが)TOEICで高得点を取っても実用性がないと無意味なことや、高得点を取るまでよりも取ってからの方が遥かに先が長い(そしてそのため、同じ高得点でも実力に雲泥の差が出る)ということです。

    ですので、個人的に「TOEICの勉強をすることが無意味か」と聞かれたら「勉強することに無意味な事などない」と答えますが、「TOEICで高得点を取ることに(趣味以上の)意味があるか」と聞かれたら、「経験よりポテンシャルが重視される新卒、第2新卒までなら、英語の実力を抜きにしても大いに意味がある。ただし、社会人、特にベテラン域(40代〜)の中途採用や異動などになると、ガチで英語が必要な職場では満点だろうがなんだろうが仕事で要求される水準を満たしていなければ無意味」と答えます。

    • リトルさん

      コメントありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。

      TOEICのスコアで評価されるべき指標は、最低限の文法とボキャブラリー(TOEIC頻出語に限る)、あとスコアそのもの、であって、ビジネスでどんなこと使うかということは別問題で、そもそも「Toeic意味あるの?」が議論に上がる時点でダメなんですよね。

      記事内容からは少し外れますが、組織内で評価する側の方々が、英語力に関して上記のようなことを理解していない現状が本質的な問題だと思っています。

      自身の含めて900以上達成している方って、TOEIC以外の勉強もやってて、英語力を上げたいという意思のある方なので、Aさん自身もこれから何をすべきかは理解しているはず。

      にも関わらず、Aさん、Bさんような例の結果だけをピックアップして、解決策などを講じず、自分のを棚に上げて大声を上げてるパターンが多く見受けられます。(私の前職はメーカー系で技術者の立場がかなり強かったので、英語に関してはリトルさんの職場と比べて、かなりレベルが低かったんだと思います。お恥ずかしい。。。)

      リトルさんご自身や、Aさん・Bさんのような英語を勉強してきた方が評価する側に変われば、「TOEIC意味あるの?問題」もなくなりそうですね(^o^)

      貴重なご意見ありがとうございました。

      • 色々調べていて、この記事にたどり着きました。

        人間自分と同じ意見にたどり着きたくて、色々調べることありますよね。

        私は学生時代オーストラリアに5年いました。ある程度の会話はできますし、今は仕事でも使っています。

        それでも、TOEICをまた受けようと思ってます。それは、英語力向上のためであって、スコアのためではありません。(スコア高いと報奨金はでますが。笑)

        要は、何のためにやるかだと思ってます。

        点数を上げるためだけにやっているのだと、なかなか語学力は伸びませんよね。
        ただ、やることには意味があって、TOEICの教材をみているととても勉強になります。

        色々なシーンで英語に触れる中で、まだまだ足りないと思うので、また向上したいと思っています。

        実際、5年留学していた私より、学生時代に沢山勉強してきた日本人のほうが語彙力があって、表現が豊かです。

        ので、TOEICは大いに意味があります。
        が、TOEICだけできてもダメだと思います。なんか日本人ってテストの点数を上げるの方法が単純な能力向上じゃないことがありますよね。

        語学に限らず、直前に一生懸命丸暗記して、すぐ忘れてしまうようなものは能力では無いと思います。

        私は帰国した時、自分の実力試すために、一切TOEICがどうゆう試験なのか知らずに、対策もせず、構成も知らず受けてみました。825点でした。

        良くも悪くも、これこそが自分の実力だと思います。

        せっかくやるのだから、みんなちゃんと自分の能力としての語学を身につけて欲しいものです。

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