英語力ゼロからTOEIC400点を突破する勉強法【参考書は2冊だけ】

いきなりですが、初心者向けに「英語力ゼロからのTOEICロードマップ~超基礎作り編~」を作りましたー(*‘∀‘)

英語力ゼロだけど、英語ずっと赤点だったけど…でも勉強してTOEICに挑戦したいです!!一体何から手をつけたらいいんでしょうか…?

TOEIC講師

TOEICは、英語の基礎があること前提に作られた応用力を測る試験です。まずは基礎固めに尽力しましょう。TOEICはそれからですね。

TOEICを受験するに値する「英語の基礎力」ってのはどれほどのもんなんでしょうか?

TOEIC講師

TOEICスコア換算で400点くらいの英語力で、基本的な文法と語彙を押さえて、簡単な英文を読んだり聞いたりできる状態です。そこからTOEIC対策をサポートしますので、基礎ができたらまた来てくださいね。

基礎固めからサポートしてほしい…スタートラインに立ちたい。

てな感じで身動き取れずに困ってる方、ようこそいらっしゃいませ(=゚ω゚)ノ

本記事の対象
  • 英語力ゼロ・初心者からTOEICに挑戦したい方
  • TOEICスコア400未満(~395以下)の方
  • 先に基礎をやれ!ってそれがわからないんですけど…って方

すっごいボリューミー(17,000字超)になっちゃったんですが、教材と勉強法はめちゃくちゃシンプルです。

英語学習に踏み込む本当の第一歩から挫折せずに継続する秘訣、何が必要で何が不要なのか、世間で話題のあの教材や勉強法はどうなの?って話までガッツリまとめておりますんで、とりあえずは読み物としてお楽しみください。

目次

ゼロから新しい言語を学んで語学試験に挑んだ話

はじめに、本記事で対象となる「英語力ゼロ」のイメージを置いときます。よく見る「英語力ゼロから〇ヶ月で800点達成!!!」とかって本人の尺度でして、人によっては「この人ほぼ基礎できてるやん」ってケースも少なくないんで、一応。

当ブログにおける「英語力ゼロ」のイメージ

  • 単語の読み方がわからない(ride=リデ、other=オツハー? early=エぁ…イァ…!?)
  • たまに動詞の後ろに付いてる”s”は何?(runs, getsなど)
  • 英文の時制(現在の話なのか、過去の話か、未来なのか)がわからない。
  • 前置詞?関係代名詞?なんだそれは!?

それと、どこの誰でどんなやつの体験談なのかが見えないと、いまいち自分ごと化できないし読む気も失せると思うんで、私の言語学習歴について少し。

実のところ、わたくし自身は「英語力ゼロ」からTOEICなどの英語試験を受験した経験はありません。初受験は大学院入試の前で500点台だったかと思います。その後、就活や特別手当目当てで数年ごとに受験して最終は930点です。

じゃあ、もともと英語デキル人じゃん

中学高校では英語は75-85点くらい

「ゼロから学ぶ人」向けのノウハウは?

オランダ語をゼロから学んで語学試験を受けました

先日、オランダ語の語学試験(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)に合格しました。

で、このCEFR(セファール)でのB1レベルってのが画像の換算表のような感じです。TOEIC換算で550-784点になってますが、実際に受けてみた所感では合格ライン(6割)が550点くらいかなぁと思います。

出典:Universidad de Burgos

このオランダ語に関しては、文字がアルファベット(abc)ってこと以外はホントに知識ゼロでした。簡単なあいさつや数字、「犬」「歩く」みたいな単語すら知らず。

スペル以前に何て言うか知らんので、コレより酷かった。

「えーと、おはよう=Goedemorgen、またね=Tot zienかぁ…って何て読むねんこれ?!」って状態。さらに聞いても全くピンと来ないし、発音がよくわからなくて再現もできない。

ちなみに…

Goedemorgen

Tot zien

もちろん、時制(現在・過去・未来)とか前置詞・接続詞も知らないので、最初は文章なんか読めるはずありません。

この状態から、語学試験に挑戦しようかなと思えるくらいの基礎を習得するまで約1年3ヶ月ほど。期間にすると長いんですが実働200時間くらいだと思います。最初の1年はなかなか時間が捻出できず語学アプリを毎日5~10分やってただけなので。

本腰を入れてオランダ語を学ぼうと決めてからは、意識的にオランダ語に触れる時間を増やしつつも、あまりストイックにやりすぎない(1日3時間勉強することもあれば15分の日もある、週末どちらかは最悪サボってもOK)のように継続していました。

仕事をしながら、また家事や育児に追われながらで捻出できる時間が限られているって方もいますよねたぶん。そういう状況でもゼロからちゃんと積み上げることができたので、もし「まとまった時間ない=今は英語ムリ」って諦めちゃってる方がいたらもったいなぁと(;´・ω・)

てなわけで、前置きが長くなったんですが、既存の英語学習ノウハウと「新しい言語を学んだ(継続中)」直近の経験が、【英語力ゼロ脱却】や【初心者のTOEIC挑戦】に活きるんじゃないかなと思って執筆しております ((φ(・д・。)

正直、自分が英語の基礎をどう習得したか覚えてないので、今まで初心者向けの勉強法を提案できませんでした。

                                                  

英語力ゼロからの基礎固めでは、TOEICの対策も受験も不要

冒頭の茶番でもチラっと書いたんですが、英語力がゼロの(または乏しい)うちは、TOEIC特化の勉強(文法問題集とか公式問題集を解く)は不要です。九九を覚えてない状態で、因数分解を学ぼうとしても歯が立たないですよね。

ということで、TOEIC受験やスコアアップを目指すのにも順序があります。

流れとしてはこんな感じ

  1. 英語の基礎を習得(400点以上の英語力を目指す)
    • 基本文法の習得
    • 基礎単語(2000語程度)の習得
    • 簡単な英文を読む/聞く練習
  2. TOEIC対策に切り替える(500~600点を目指す)
    • TOEICの出題内容や傾向を知る
    • 長文読解力やリスニング力の強化
  3. 以降ここでは割愛(さらなるスコアアップを目指す)

初期スコアを測ってみるのもいいんですが、TOEIC受験料1回7,810円って決して安くはないので、そこらへんの判断はお任せします。

ちなみに、私のオランダ語の試験でも、リーディングとリスニングについては試験特化の勉強はしませんでした。(直前に過去問を解いただけ)

TOEICは応用的な英語力を測るテスト

TOEICは、英語の基礎力(文法や単語)があることを前提に、実用的な英語力(読解や聞き取り力)がどのくらいあるかを測るように問題が作られています。

で、全問不正解でも最低10点から一応スコアが出ることは出るんですが、あまりにも低いスコアはぶっちゃけ測定不能というか、270点も320点も「まだ基礎がしっかり習得できてないみたいです」としか言えないので、あんまり測定する価値が無いんですよね。(受験料高いし)

英文を読んだり聞いたりして理解するため基礎力とは?

冒頭からずっと言ってる基礎基礎って何なんだ?って話なんですが、ざっくり言うと「英文を理解するのに必要な知識(単語・文法・発音)スキル(英文処理能力)です。

英文とは、複数の単語を文法ルールに従って並べたもの

  • 単語:まず、英文は複数の単語で構成されています。
    This is my brother. (こちらが私の兄です。)
  • 文法:語順が変われば意味も変わってしまうことがある。
    Is this my brother…?(こ…これが私の兄?)

(わからない単語は調べるとして、)文法が理解できていれば大抵の英文は読める。逆に、単語だけわかっても、文法が理解できていなければ英文を正しく読めない。

てなわけで、英文を読んで理解するためには「単語」「文法知識」が必須。語彙力は広げていけばキリがないですが、基礎に含まれるのはどんなトピックでも頻繁に出てくる2000語(中学レベル)程度です。

次に、英文を聞いて理解するとなると、「単語」「文法知識」に「音の知識(発音)」が加わります。知ってる単語でも、その単語がどのように発音されるかを知らないと聞き取れないですよね。後ほど解説しますが、単語もイディオムも、英文も「文字(テキスト)と音」をリンクさせる必要があります。

最後に、英文を理解する「スキル(英文処理能力)」の話なんですが、これは英文を前から語順通りに読んで理解する(何回も読み直して解読したり、文の後ろから訳したりしない)という言語運用能力を指します。リスニングなら聞こえてきた英文をそのまま理解することですね。基礎固めの段階では、シンプルな構造の文でトレーニングを行います。(こちらも後ほど解説)

TOEIC対策抜きでスコアを伸ばし続けることも可能ではありますが…

実は、基礎を身につけて400点を突破した後も、引き続きTOEIC対策をせずに英語力を高めてスコアを伸ばすことは可能です。

TOEIC(L&R)は、大学入試と違ってイヤらしい英文”解釈”とかもなく、純粋な英語力(基礎と読み聞きの理解力)を問われる試験だと思います。

実際に、ネイティブとか英語力が十分に高い方なんかは、TOEICをぶっつけ本番で受けても満点近く(満点はムズいらしい)取れてしまうわけでして、たとえば、ユートさん↓は、海外ドラマを2年くらい視聴し続けてTOEIC945点を獲得したそう。(動画の中で、中学レベルの基礎はできてる状態からのスタートと語っています。)

試験対策を一切せず英語力を高めたユートさん

ただし「TOEICスコアを伸ばす」という目的に対しては、海外ドラマを視聴しまくるよりも、それと同じ時間をTOEIC特化の勉強に費やした方が効率が良いんですよね。その学習効率曲線がグイっと持ち上がるラインが英語の基礎を習得し終えた400点あたりというわけです。

高校生の平均点が411点、大学生が567点という点からも、英語初心者の脱却ラインとしては400点台は妥当かと思います。(参考:TOEICの平均点は?社会人・大学生・高校生の属性別に解説

平均点が年々上がってますな…

英語力ゼロからスタートする上でいちばん大事なマインドセットの話

具体的な勉強法や教材について解説する前にもう一つだけ。英語学習に取り組む上で重要なマインドセット(考え方・気の持ち様)についてお話させてください。

初学者にとって一番難しいのが「継続」とか「習慣化」でして、スマホでできるような語学アプリですら2週間もしないうちにどんどん離脱していきます。

なので、飽きや挫折を防ぎ、英語学習を継続させるために「言語学習ってのはこういうもんだ」と前もって知っておくといいよーって話をいくつか挙げておきたく。(どうしても挫折してほしくないので、いっぱい書いてしまいました。)

言語習得には時間がかかります。それなら気楽にいきましょう。

英語の基礎固めにかかる期間は、個々の現状レベルと学習ペースによるので何とも言えないのですが、時間にして200~300時間ほど見ておくといいと思います。たとえば週に12時間なら約6ヶ月で達成できる時間です。

中には長いと感じる方もいるかもしれませんが、英語力ゼロ付近の方でしたら「6ヶ月で基礎マスター」は順調な進捗です。中学3年間での英語の授業が約300時間だとして(最近は420時間に増やされてるらしい)、これって毎日3時間勉強しても100日(3ヶ月強)かかるわけなので。

英語学習から離脱していく人の多くは、短期間で大きな成果を求めて「こんなに頑張ったのに…」と心が折れやすい傾向にあります。なので、まずは「言語学習って時間がかかるもの」「努力の成果がすぐには出ない」という認識を持っていただきたく。

先は長いので気楽にいきましょう!

  • 最初はミスしてあたりまえ
  • 忘れることを恐れない
  • 聞き取れるフレーズが1つ増えただけでも成長
  • 通勤時間にちょっとリスニングしてみるか
  • やる気が出ない日は無理しない。カワイイ英語の先生のYouTubeでも探そ。

英語に触れることを習慣にし、小さな進歩を楽しむことが大事かなと。最初に頑張りすぎてもバテちゃうので(;´・ω・)

私がオランダ語をゼロから始めたときは、Duolingo(語学アプリ)で遊ぶことからスタートし、慣れてきたら絵本を読んだり、オランダドラマを日本語字幕で見たりと、とにかく少しでもオランダ語に毎日触れるようにして、その中で気になる単語や文法があれば調べる(でも無理はしない)ってのを続けました。

気づけば1年3ヶ月と時間はかかりましたが、苦痛やストレスは一切伴いませんでした。

他人の数値(期間やスコア)を自分の目標に置かない

大事なのはコレです!

YouTubeとかブログで見る「3ヶ月でゼロからTOEIC800」とか「1年で英語ペラペラに」っていうタイトルやサムネは決して詐欺でなく。短期間ではありますが、彼ら、実際にはめちゃくちゃ勉強時間を割いております。(たとえば、1日8時間勉強すれば1ヶ月強で300時間に達する。)

もちろん再現をトライしてもいいんですが、もともと英語を避けてきた方が1日に何時間も苦手なものと向き合うって地獄だと思うんですよ。

ここ最近で、机に集中して15分も向かったことがないって方なら、最初は「5分やってみる」「英文を3つだけ音読してみる」からスタートして、徐々に負荷を上げていく感じになるかと思います。

ぶっちゃけ、最初の1~2ヶ月は「英語に触れる」だけでも目標として十分。苦手なものに2ヶ月も向き合い続けるってスゴいことだと思います。

自分の学習能力を信じて続ける(いずれできるようになる)

新しい言語の習得には、「時間」だけでなく「量」も要求されます。特に最初の方は、トレーニングの質や方法よりも、耳や脳をどれだけ英語漬けにして慣れさせるかが鍵です。

最初は「音に慣れる」ために、通勤時間や家事に、英語のラジオやポッドキャストを流しておくだけでも効果あり。

せっかく英語学習を始めたのに「自分には言語の才能がないから…」「耳が良くないから…」「記憶力が悪いから…」とふさぎ込んでしまう方がいるんですが、単純にインプット(見たり聞いたり)の量が足りてないことがほとんどです。

逆に、どれだけ記憶力が悪くても、何十回も繰り返して出会うと覚えてしまいます。これは日本語(母国語)でも同じことで、たとえば、新学期初日からクラス全員の名前を覚えるのは難しいですが、特段意識してなくても1ヶ月もすれば全員の顔と名前は一致するようになっているはず。

英語(外国語)の場合、最初のうちは知らない単語・表現、聞き慣れない音ばかりだと思うので、日本語の倍以上の時間や回数を要することになります。なので、「覚えられない( ;∀;)」と嘆くのでなく、「まだ覚えてないだけ(=゚ω゚)♪」と軽いノリで、とにかく自分の学習能力を信じて「聞き続ける・読み続ける・触れ続ける」をやってみてください。

ノルマは量でなく時間で決める

これは、英語学習に限った話ではありませんが、ノルマを一日単位とかでガチガチに決めることはおすすめしません。綿密に計画するほど達成できなかった時に萎えてしまうからです。(そのまま戻ってこなかったり)

計画するにしても週単位や月単位でザックリと、ノルマを課すなら章やページ数などの量でなく、時間で決めてしまいましょう。15分でも1時間でも、その時間で進められるところまで進める。ページ数で決めると、想定よりも時間がかかって終わらなかったって日が必ず出てきます。

最初は「まずは5分やってみる」⇒「5分やった!ノルマ達成」くらいの緩さでもOK。なんだかんだで、一度始めるとキリのいいところまでやってしまいたくなるものです。

英語の基礎固めに必要な教材は2つだけ

さて、いよいよ英語学習をスタートさせます。まずは教材を用意しましょう。基礎固めに必要な教材は以下の2つだけです。

  • 文法テキスト(1冊):基本文法に一通り触れる
  • 英文・ダイアログ集(1冊):英文読解とリスニングの実践練習、単語2000語の定着

これで、英語の基礎となる「単語」「文法」「発音(知識)」「簡単な英文を読んで/聴いて理解する」が身につきます。

文法テキストはどういうのがオススメなの?
銀フレ(TOEIC単語帳)は要らないの?
単語飛ばして、読解やリスニングなんてできるの?

なぜこの2冊か、推奨教材と併せて解説します

①薄くてサクサク読み進められる文法テキスト1冊

文法テキストは、「基礎はこれ1冊でOK!」っていう良書(下におすすめ記載してます)の中から、薄くて自分が読み進めやすいものを選びましょう。これは、英文を読むのに必要な基本文法テキストをできるだけ早く1周するためです。

薄いといっても大抵は200ページ以上はありますが、学校で使われる『総合英語Evergreen(旧Forest)』なんかは、高校3年間を通して使い倒す極厚テキスト(672ぺージ)だけあって、仮に1日10ページ進めても1周に2ヶ月以上かかっちゃいます。

そして、サクサク読み進められるかどうかは自分基準です。必ず自分で中身を確認して「コレ!」と納得したものを購入してください。ネットや電子書籍でサンプルを見ることもできますが、書店で手に取ってパラパラと読み比べてみるのが確実です。

どれだけ易しく(そして優しく)書かれている英文法書でも、単元によっては理解に時間を要したり、日本語には無い概念に苦戦したりするところが出てきます。さすがに文法テキストとして「一旦、ここはノリで覚えちゃおうね!」とは言えないので、詳しく説明しようとすると堅苦さが出てしまうものだったり。

となると、200-300ページのテキストを完走しきれるかどうかって、最終的には本人の「モチベーション」次第なんですな!

であれば、(ページを繰るのが夢中になるくらいワクワクするものがベストですが、)少しでも読みやすいものを最初に自分で選んでおくべきだとワタクシは思います(=゚ω゚)

人気の文法書はどれも良書なんで、ぶっちゃけ継続できるなら何でもいいです。だからこそ、アノ人のおすすめだからってだけじゃなく、自分で納得して選ぶことが大事。

一応「基礎はこれ1冊でOK!」の良書を推奨しておきます。

英語嫌いが夢中になって読むと言われる大岩先生の神テキスト。中学レベルならぬ「いちばんはじめ」からの超基礎英文法を講義形式で教えてくれる本です。

例題や演習が少ないのが不安って声もあるんですが、そのぶん読み物としてサクサク進められるので「初心者が最後まで読み切りやすい」という点では個人的に超オススメ。

ほとんどの人が「基礎=簡単なこと」って思っているみたいだけど、それは違うんだ。 「頻繁に使うから、1つでもわからないところがあったらもう終わり」の超必修重要事項。 それが「基礎」の本当の意味なんじゃないかなと、俺は思うんだよね。

本書『大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】』 ”はじめに”より抜粋

大岩先生と言えば、片田舎の東進(という名の自習室)の特別講演会に来てくれたんですけど、こんなベストセラーまで出す方になるとは。

授業受けたことないくせに、受験の応援メッセージとサイン貰っちゃいました。実家の本棚に置いてます。

もう1冊、違ったテイストの良書

こちらは、各単元に演習問題ページがあるぶん少し分厚いです。とは言っても、解説パートの半分はイラストや図解なんで、テキストの分量はそこまで多くありません。

全116レッスンありますが、1レッスン見開き1ページで完了(左ページに解説・右ページに練習問題)するので、ちょっとした時間を活用しやすいところが良き◎

序盤や簡単に感じるところ、時間がある日は一気に進めることもできるし、疲れたら1レッスンで中断することもできます。

難しく感じることは、無理やりやらないでください。ほんの少し背伸びするくらいの、ほどよいレベルでチャレンジしていくのが一番効果的です。学び直しはレースではありません。自分のペースや感覚を大切にしてくださいね。

『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』”英語学習のアドバイス”から抜粋

すぐキリのいいとこに到達しやすいので、「まずは5分やってみる」を実践しやすい。

②基礎単語を網羅できる英文・ダイアログ集(速読速聴・英単語シリーズ)

これはお先に教材を紹介させてください。短い文章や会話文を使って、リーディングやリスニングを鍛えてるうちにいつの間にか単語も覚えちゃいましょう!っていうコンセプトの速読速聴・英単語シリーズです。

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同シリーズでは、単語を覚えても使えない(文章が読めない・聞き取れない・英作文できない)と意味がないよー、実際にの用例やシチュエーションに則した「印象に残る文章」「繰り返しインプット」することで身につく(覚えるし使える)んだよーという絶対文脈主義を掲げています。

一般的ないわゆる単語帳の「英文を読むためにまず単語を暗記しよう」に対して、本書は「英文読んでたらいつの間にか単語覚えてたわ( *´艸`)」に持っていけるタイプの英文集です。

文法テキストをやってると単語も身につきます。基礎が最低限できたら「英語”を”学ぶ」から「英語”で”学ぶ」に移行しちゃった方が楽しいです。

速読速聴・英単語 Basic2400の内容

Basic 2400は、英語力の基盤となる中学から高校1年までの語彙を総復習できるというもので、最初はこんな感じで20~40語の短い会話文から(画像は改訂前verのもの)。後半は80~100語の英文まで徐々にステップアップしていく形となります。

レイアウト: 左に英文、右に和訳、下部に見出し語と語義

本書も含め、英語初心者向けや中学生向けの単語帳に収録されている語彙は、どんなシンプルな文章にもどんなトピックにも登場する基礎単語です。頻繁に出てくるため、知らないと頻繁に立ち止まることになって先へ進めません。故に「基礎」と称されます。

逆を言えば、学習者はいろんな文章を読んでるだけで同じ基礎単語に何度も出会います。中には文脈や使われどころによって意味が変わる単語もあると思いますが、重要であるほど繰り返し出会うチャンスも多く、いつの間にか「複数の意味」や「使われ方」まで習得できてしまうんですな!

これ以上は「実感してみて」としか説得する術がないんですが、単語の羅列を頑張って暗記しようとするよりは、英文をストーリー性や文脈ごと頭に溶け込ませた方が「思い出しやすい(記憶の定着)」気がしませんか?

全2400語を覚えようとしなくていい

2400って多そうですが、既に知ってる(聞いたことある)単語も結構あると思います。

あと、途中でコレも覚えちゃおう的なノリで「魚介類の名称」とか「病気・ケガの症状」とかも出てくるんですが、ザっと見て(* ̄- ̄)ふ~んで先進んじゃってOKです。(使わない限りは、どーせ覚えても忘れていくので)

ひととおり読んで聴いて先進んでOK

目的は「単語を覚える」ことではない

そして、全てのパートにおいて「覚えようとする」行為自体が不要です。学習を繰り返す中でも、目的は「英文を読んで/聴いて理解できるようになる」ことであって、それが達成されれば、結果として語彙力(単語を覚えること)も勝手についてきます。

単語帳をガーーーっと何十周もするような暗記法だと、単語の意味は覚えられると思うんですが、じゃあ「その単語が使われた文章をサラっと読めるか/一度で聞き取れるか」というと全くそんなことないんですよね。しかも、使わないとすぐ忘れていきます。

TOEICを受験するなら、どのみち読解やリスニングのスキルを伸ばしていく必要があるし、材料(英文書、和訳、英語音声、単語リストと語釈)が揃ってるので、一冊でいろんな使い方・トレーニングができてお得です。

ちなみに中学時代の教科書もアリです

中学校で使う教科書(New Horizonなど)でも代用可能です。まさに中学3年間で習う文法と単語がすべて入っており、程よい量の英文や会話文をベースに構文や表現を学んでいくことができます。

ただし、中1~中3まで3冊あって音声も別売りなので、既に持っている方(実家に眠ってるなど)でなければ、単語リスト・英文・音声が1冊にまとまってる『速読速聴・英単語 Basic2400』の方をおすすめします。

各教材の使い方と学習を効果的に進めるヒント

やるべきことはシンプルに「文法テキストを一通り読んで、あとは英文を読みまくる・聴きまくる」だけです。その手順や注意点、なぜこのやり方が効果的なのか?ってとこを以下で詳しく解説します。

確保できる時間は人によって異なりますし、そこそこ継続できてれば特に問題ないので、「何日でこれをやれ」「2か月で○○達成」などの期間は設定してません。

【文法テキスト1周目】文法はルールでなく、日本語訳を充てて覚えると楽チン

まず、文法テキストを1周します。先ほど、「自分が最終のページまで進められる基本文法網羅テキスト」を推奨しましたが、これはもう興味を持って楽しく読み進めてもらえればOKです。覚えようとする必要は全くありませんので、自分なりに理解できたと思えたらページを繰ってどんどん読み進めてください。

さて、英文法テキストをサクサク進めるポイントの一つに「文法用語との付き合い方」があります。普段使わない用語と独特の言い回しで説明されても…って感じですよね。小難しい解説は減らせど、文法解説に専門用語を省略することは難しいもんです。

用語を使わないと逆に説明がややこしくなるし、目次すら作れないので…

ここで提案したいのが、「英文法は用語や解説文で理解し、日本語訳で定着させる」というアプローチです。

文法用語や解説は、文の構造やルールを理解するプロセスでは有益だけど、一旦理解しちゃえば忘れちゃってOK。そのあとは、日本語訳をあてはめて文法ルールを感覚的に習得しちゃおうというもの。

以下に、具体例で簡単に説明します。私は、英文を読むときも、英語を話すときも、頭の中で文法用語やルールが思い浮かぶことは皆無です。

たとえば “I know what you need.”という英文

意味は「君が何を必要としてるかわかるよー」ですが、脳内の処理を敢えて書き出すとこんな感じ↓↓

① I know/わかるよー
② what you need/あなたが必要とするモノ

これだけ。文法は一切浮かんできません。もっと長い文になっても同じです。(実際には日本語訳も出てこず、語順のまま訳のイメージがポンポン続いていく感じです。)

この英文に文法解説を加えると一気に難しくなります。

・主文の文型はSVO(主語+動詞+目的語)で、目的語[what you need]は名詞節
・間接疑問文(疑問の内容を名詞節として主文の一部に組み込んだもの)で、whatは疑問詞
・間接疑問文では、平叙文の語順(疑問詞(what)+主語(S)+動詞(V))に語順になる

上記のような文法ルールや用語、解説を手がかりにして英文を解読するのは立派な技術かもしれません。大学入試の難解な英文解釈や文法問題でも役に立つことはあるでしょう。ただし、いちいち謎解きをしていては文章をスラスラ読むことはおろか、30秒程度のリスニングもままなりません。

なので、文法の用語や仕組みは理解してしまえば一旦忘れ、日本語訳を充てて覚えちゃえばいいんです。

たとえば、この間接疑問文”I know what you need.” であれば、「[what (SV)…] =[…なもの/SがVするもの]」とだけ覚えておけば、いとも簡単にこの英文が読めちゃいます。

【文法テキスト2周目⇒不要】英文読解に詰まったときの辞書代わり

英文法は、一度自分で「そういうものなのね」と納得できれば、次の『速読速聴・英単語 Basic2400』などで実用化ステップ(読む・聞く)に進んでかまいません。英文を読んで理解できなかったり、訳に納得できないところがあれば、その部分だけ文法テキストで調べて復習しましょう。

速読速聴シリーズには単語リストが出てるので、理解に詰まるとしたら原因は文法にあります。

前述したように、文法を理論的に覚えても余分な解読ステップが生じるだけですし、文章をスラスラ読むことから遠ざかってしまうだけです。単語と同様、重要な文法はあらゆる文章で繰り返し登場するので、教材の「文法的に正しい英文」をたくさんインプットしているだけで基本的な文法はすぐに習得できます。

ここでの習得とは、説明はできないけど適切な文法を使えるし、文法的に正しくない文に違和感をおぼえるという状態です。(。-`ω-)フム理想的

しかも「日本語訳で覚えておく」方法であれば、英文を何度も読んでいるうちに次第に慣れ、この日本語訳を介すステップ自体もなくなっていき、最終的には英語のまま瞬時に理解できるようになります。

逆引きしたい(調べたい文法事項がわからない)場合は、ChatGPTとかGeminiで聞いちゃいましょう。オランダ語の文法は随分とChatGPTに助けられました。(今もお世話になってます。)

語順や文構造に納得できない時に使ってます
解答の続きはこちらです。興味ある方はどうぞ。

全体の意味

「NS(オランダ鉄道)は、列車が立ち往生した際にトイレを使えなかった乗客からの批判を解消することを目指している。」


文構造の分解

文を部分ごとに分解し、それぞれの役割を説明します。

  1. De NS hoopt zo
    • De NS: 主語。「NS(オランダ鉄道)」。
    • hoopt: 動詞「hopen」(希望する)の現在形。「望む、期待する」。
    • zo: 副詞。「このように」「この方法で」という意味。この文では「このようにして」というニュアンス。
  2. de kritiek van reizigers weg te nemen
    • de kritiek: 目的語。「批判、不満」。
    • van reizigers: 前置詞句。「乗客の」という意味で「批判」の出どころを示す。
    • weg te nemen: 動詞「wegnemen」(取り除く)の不定形。「解消する、取り除く」。
    • この部分全体で「乗客からの批判を取り除くこと」という意味。
  3. die niet konden plassen als hun trein gestrand was
    • die: 関係代名詞。「reizigers」(乗客)を修飾する。
    • niet konden plassen: 動詞フレーズ。「トイレを使うことができなかった」。
      • niet: 否定。
      • konden: 動詞「kunnen」(〜できる)の過去形。
      • plassen: 動詞。「トイレを使う」。
    • als hun trein gestrand was: 条件を示す副詞節。「列車が立ち往生していたとき」。
      • als: 接続詞。「〜のとき」。
      • hun trein: 主語。「彼らの列車」。
      • gestrand was: 動詞「stranden」(立ち往生する、行き詰まる)の過去完了形。「立ち往生していた」。

構造全体の流れ

  1. 主節:
    • De NS hoopt zo de kritiek van reizigers weg te nemen
      → NS(オランダ鉄道)は、この方法で乗客からの批判を解消することを望んでいる。
  2. 関係節:
    • die niet konden plassen als hun trein gestrand was
      → 「列車が立ち往生していたときにトイレを使うことができなかった乗客」という形で、「reizigers(乗客)」を修飾している。

要点

  • 「hoopt zo」: 主語の行動(望む方法)を示す。
  • 「weg te nemen」: 解消しようとしている具体的な対象を示す。
  • 「die niet konden plassen…」: 関係節で「批判をしている乗客」の特定条件を説明。

文全体は、「オランダ鉄道がどのような批判を解消しようとしているのか」を説明しています。

こんな感じで文構造や文法を解説してもらってもいいですし、「関係代名詞thatとwhichの使い分けは?」「この言い方でも正解?」「”get up”と”wake up”は何が違うの?」とか、疑問に思ったことをそのまま打ち込めば解説してくれます。

【速読速聴・英単語 Basic2400】初心者はインプットを稼ぐことに集中しましょう

1冊で「単語力」「熟語力」「読解力」「リスニング力」「時事英語の背景知識」が身につくとされる本シリーズ。活用法もさまざまで、特定のトレーニングをやり込むことで弱点強化なんかもできます。

見開き1ページと音声だけで、リーディング、リスニング、音読、ディクテーション、シャドウイングとできることは盛沢山なんですが、基礎固めの段階においては「リーディング」と「リスニング」に絞って進めてください。

英文+音声でいろんな活用ができる見開き

現段階では、とにかく英語をインプットしまくる(量を稼ぐ)ことが最重要。インプット量なくして他は語れずでして、最初の2~3ヶ月は音読もインプットを減らしてまでやることではないです(まだ効果が薄い)。

とにかく「たくさん読んでたくさん聴く」をやってもらえればよく、「これぞ正解!」っていう活用法はないんですけど、リーディングとリスニングに特化した進め方の例を示しておきます。

①リーディングの進め方

  • まず文章(会話文)を通して読んでみる。
    • 意味の理解に集中する。
    • わからない単語があっても内容を推測して読み進める
    • 同じ箇所を2回以上読むことや返り読み(後ろから日本語の語順で読む)は禁止。
  • 単語の意味を確認し、もう一度文章を通して読む。
  • 日本語訳を確認し、単語や文法で不明点があれば調べて解消する。
  • 音声を聴き、テキストがどのように発音されるか確認する。
  • Quizを解いて、内容の理解度をチェック

②リスニングの進め方

  • テキストを見ずに何度か音声を聴く。
    • 意味の理解に集中する。
    • まず何の話をしているか大枠を掴む。
    • 聴き取れない部分は、聴き取れた情報や文脈から推測する
  • テキストを目で追いながら、音声を何度か聴く。
    • 聴き取れなかった単語や音の繋がりをチェック
  • もう一度テキストを見ずに聴く。
    • 意味の理解に集中する
    • 会話のシーンや状況を思い浮かべながら聴く

実は、リーディングとリスニングって同時にインプット手段として成立することがなく、耳(音)と目(テキスト)で片方のインプット回路がONになってる間、もう片方は機能してないようです。(参照『音読で外国語が話せるようになる科学』)

なので、テキストを見ずに音だけで内容を理解しようとするっていうプロセスは、自分の認識下にある音とテキストを一致させるために不可欠です。難しそうでも絶対にスキップしないでください。

③スキマ時間・移動時間

  • 読み終えたパートを聴きまくる
    • テキストなしで理解に集中する
    • 流し聞きでもOK(やらないよりマシ精神)
  • 読み終えたパートを読みまくる
    • 集中して可能な限り早く読んでみる(無理はしない)
    • 二度読み、返り読み、飛ばし読みは禁止

1周目をリーディングだけで通すのでなく、翌日とか近いうちに前回進めたところをリスニングで復習するのがオススメ。

すぐ復習すると和訳を覚えちゃってるのでは?

だとしても全く問題ありません。インプット量を稼ぐのが目的ですし、むしろ英文を読む/聴くと瞬時に内容が浮かぶくらいまで繰り返してほしいです。

ノルマ(1日2テーマやる的な)を決めちゃうと挫折しやすいので、最初はリーディングを軸に先へ先へと進めて、リスニングは「まだやってないところ」を消化していく感じでいいと思います。他人との競争ではないですし、少しずつでも取り組んだ分は毎日ちゃんと積みあがっていくので、焦らず自分のペースでやり切りましょう!

とまぁ、説明が長くなりましたが、やるべきことはシンプルに「文法テキストを一通り読んで、あとは英文を読みまくる・聴きまくる」だけです。これで、英語のガッチリとした基盤(TOEIC400-500点相当)ができあがり、その先はしばらく英語力がおもしろいように伸びます。もちろん、TOEICにフォーカスした英語学習にシフトする準備もバッチリです。

本編はここで終わりっす(´・ω・) ここから下は、基礎固めフェーズでは特に必要ない学習法のことを書いてますんで、ご興味ある方のみどうぞ。

発音練習や音読は無理してやらなくてOK!理由を解説します。

英語学習法やTOEIC攻略法の中には、「音読は英語力向上の特効薬」「自分で発音できないとリスニングもできない」といったトピックも上がってたりするので、これ基礎固めでやらなくてダイジョブなの!?と不安になる方もいるかと思います。

結論、英語力ゼロからTOEIC400-500点を目指す基礎固めのフェーズにおいては、「発音学習」や「音読」を取り入れる必要はなく、黙読やリスニングによるインプットに比べて優先順位は非常に低いです。

オランダ語は、音読も発音練習もせずにリーディング試験とリスニング試験通ったし、未だに難しい発音あるけど別に聞き取りはできます。

音読に時間を割いたぶんインプット量が減ると学習効率は下がる

そもそも、なぜ「音読」が重視されるのかというと、多くの人が苦労する「”覚えた” を “使える” に変換する実用化」において絶大な効果をもたらすからでしょう。具体的には下記のような言語スキルです。

音読が効果を発揮するスキル

  • スピーキングの基礎作り:英語のリズム、イントネーション、発音に慣れる
    • 自然な流暢さの基盤構築
    • 発話速度の向上
    • 発音の正確性の強化
  • リーディングの向上:読むスピードが安定し、文構造の理解が早くなる
  • リスニングの補助:読み上げることで、自分が聞き取れていない音やフレーズを発見できる
  • 記憶力と定着率の向上:発話と同時に視覚と聴覚を使うため、記憶の定着が促進さる
    • 単語やフレーズ、特定の音やリズムが記憶に残りやすい
    • 覚えたフレーズを使えるフレーズに変える
    • スピーキングやライティング時の文法ミスが減る

発話感覚を養い、スピーキング力を強化するには「音読」が最適です。よく見るとリーディングやリスニングにも活かせるようですが、これらは全て基礎(つまりTOEIC400-500点程度の単語/文法/読解/リスニング)ができていることが前提となります。

また、「”覚えた” を “使える” に変換する」とあるように、まず十分なインプット(覚えた:英文の理解や音声の認識)がないと、実用スキル(使える) を得ることも伸ばすこともできませんよね。

本編でも言及したように、基礎を築く段階では膨大なインプットが必要です。インプットが不十分な状態での音読は、「テキストを目で追いながら、ただ音を出す作業」に過ぎません。

経験談などで「音読で伸びたー!」って言っている方は、かなりの量の音読をこなしています(同じ文を10~20回×10周とか)。これ最初の方はインプット学習になっちゃてるんですね。しかも発声の方に意識が向いてるんで当然インプットも中途半端になってしまう。(それ故にこれだけの回数が必要)

これだけ努力×継続できる方が、発音や音読に時間を割いた分だけインプット学習が減ってしまうのが少しもったいない…!

絶対にやってはいけないとかではないんですけど、単に効率が悪いのでおすすめできないんですよね。

音読は、黙読よりも「学習している感覚」が得られるのが厄介なところです。それを踏まえて、気分転換やモチベーション維持に役立てるのはいいかと思います。精読に疲れた時に軽く声を出してリフレッシュするなど、あくまで補助的な位置づけで。

「発音できない音がある=英文をリスニングできない」でない

リスニングができるとは、「音声を聴いて内容を理解できる」ことです。音読と同様に、発音学習も誤解されている部分があるのですが、「発音学習(矯正)がリスニング力を引き上げる」という直接的な因果関係はありません。

これは、子どもの言語習得を考えると「発音ができない=リスニングができない」でないことは明らかです。赤ちゃんは、発声するのに十分な骨格や筋肉が発達する前から周囲の言葉を理解し始めます。

母国語と外国語では違うのでは?という方のためにもう少し理論立てて説明しますと…リスニングの「聴覚で音を捉え、脳内で音を認識する(意味を持たせて解釈する)」プロセスは、必ずしも「自分がその音を発音できる」ことに依存しません。

ざっくりとしたプロセス

  1. 音の物理的認識:聞こえている音を「音の塊」として捉える(音素や音節、音の連結・消失)
  2. 音と文字、意味のリンク:捉えた音が、単語やフレーズ、文法構造と結びつく
  3. 意味の理解:文脈や背景知識を元に適切な意味合いを理解する

こんな感じです。おそらく、「発音ができない=1. 音の物理的認識ができない」というふうに誤解されているんだと思います。が、そんなことはなく、自分で発音できなくても、新しい音素やパターンを認識できるようになります。

単純に慣れの問題(つまりインプット量)です。

子どもの言語学習に話に戻りますが、彼らは生後聴覚が機能し始めた頃から音のインプットを続けているわけで、発話よりも先にリスニングが発達します。これは大人や外国語学習にも再現可能です(幼児期の大量インプット環境を用意できるかどうかは別として)。

ということで、「自分が知らない音(母国語には無い音)は慣れないと認識や区別が難しい」のは確かですが、音のインプット量で解決できます。

最初は「自分が知らない音=発音できない音」なので、そこから「発音できない音=認識できない音」と結びつけられたんじゃないでしょうか。あとは、発音を学ぶと、英語の音をより意識して聴くようにもなり、学習者自身が「発音を学んでから聞こえるようになった!」と感じることがあるため、この説が強調されるようになったと考えられます。

何か延々と理論語れてしまうのでまとめます…

英語ゼロの初心者がTOEIC400-500点を目指す基礎段階において、発音練習や音読は「楽しいならやってもいいけど、効率悪いから無理してやる必要はない」です。

重要なのは、「いっぱい読んでいっぱい聴く大量のインプット」です。あとは、本編でも少し触れたように「音声インプットと文字情報(リーディングインプット)をリンクさせる」ことがリスニング力を伸ばす鍵です。

テキストを見ながら音声を聴くだけだと、どうしてもリーディング回路が優勢になってしまうので、聴いている間だけはテキストから顔を上げるなどして「音と意味の理解(=リスニング)」に集中する練習も取り入れてください。

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