どんな言語でも、「ハロー」の次に頻繁に使うのが「ありがとう」という感謝のことば。言語を学ぶ際にまず覚えたいと思うのは、たとえ言葉が通じなくても感謝だけはちゃんと伝えたいからであり、比較的すぐに覚えられるのも至る所で感謝が飛び交っているからでしょう。
オランダでも、英語の ”Thank you”というフレーズはほとんどの人が知っていますが、やはり母国語(オランダ語)で「ありがとう」を伝えられると、その一言だけでもやはり心に響くものです。
ということで、場面や相手に応じた「オランダ語のありがとう」を20フレーズくらいご紹介します。合わせて音声もご用意しましたので、ぜひご参考に。
オランダ語で「ありがとう」を表現するフレーズ
まずは、いつでもどこでも使える基本の「ありがとう」から。シンプルに「ありがとう(ございます)」という意味です。
- Dank je wel.(どうもありがとう)
- Bedankt.(ありがとう)
- Dank jullie wel.(みんな、ありがとう)
発音もそんなに難しくないので、旅行者やオランダに来たばかりの方でもすぐ使えます!
Dank je wel(ダンキェウェぅ).
オーソドックスで丁寧に感謝を示せる「どうもありがとう」です。
Bedankt(べダンクツッ).
もう少しカジュアルな「ありがとう」ですが、これも頻繁に使います。
Dank jullie wel(ダンク ユリー ウェぅ).
複数の人に向けて言う「どうもありがとう」です。オランダ語では「je=あなた」「jullie=あなたたち」を指します。
後述するようにビジネスなどで使うもっと丁寧な言い方もありますが、それらを使わなかったからといって失礼にあたるわけではないので、上記3つを公共の場や見知らぬ人に咄嗟に言っちゃっても問題ないです。
そもそも感謝されて失礼に感じる人いないしね
親しい間柄で使うライトなありがとう
友人や家族、親しい間柄で使う「ありがとう」です。テキストメッセージだと語間にスペースを入れずに使われてたりします。
- Dank je. (ありがと)
- Super bedankt.(マジありがと)
Dank je(ダンキェ).
Super bedankt(スーパー べダンクツッ).
フォーマルな場やビジネスでよく使うありがとう
フォーマルな場やビジネスシーンでより丁寧に「ありがとう」と言いたい場合、以下のようなフレーズを使います。
- Dank u(ありがとうございます)
- Dank u wel(どうもありがとうございます)
- Dank u wel allemaal(皆さまどうもありがとうございます)
- Veel dank(多くの感謝を)
オランダ語では、相手(あなた:英語でのyou)に敬意を示したい際、 「je (jou)」 ではなく 「u」を使います。上司や目上の人と話すとき、学会発表などのフォーマルな場、接客時など、日本で敬語を使う場面と同じです。
ビジネスシーン以外では、街で見知らぬ人が落とし物を拾ってくれた時など、公共の場で偶然会った人や初対面の人に使います。これも日本語感覚の距離感で使い分けても大丈夫そうです。
Dank u(ダンクウ).
気軽に使える「ありがとうございます」です。ダンクと言いたくなりますが、ハッキリと「u(ウ)」を発音します。
この「u(ウ)」の発音が難しい
日本語の「う」よりも口の中の空間を狭くし、唇も緊張させて「ぃうー」と強く吐き出す感じです。単体での出し方はわかるんですが、まだまだ自然体で発音するのが難しいです。
Dank u wel(ダンクゥウェぅ).
Dank u wel allemaal (ダンクゥウェぅ アぅレマーぅ).
どちらも「どうもありがとうございます」です。複数人に言う時は、後に続けて「allemaal=皆・すべて」を付けることで「どうもありがとうございます、皆さん」となります。
Veel dank(ヴェイぅ ダンク).
たくさんの感謝というニュアンスを含めた「ありがとう」です。
二重母音の「ee」は、[エイ]のような発音になります。子音vは、英語でいう[f(フ)]に聞こえたり[v(ヴ)]に聞こえたりするのですが、どのオランダ人に聞いても常に同じだと言われます。
無意識なだけで絶対2種類あると思う
感謝の気持ちを強調する表現
直接的な「ありがとう」という言葉だけでなく、深い感謝の気持ちを強調したい場合には、次のような表現を使います。
- Heel erg bedankt(本当にありがとうございます)
- Hartelijk dank(心から感謝します)
- Dank je vriendelijk(親切にどうもありがとう)
- Ik waardeer je hulp echt(本当に助かりました)
- Ik kan u niet te veel danken.(感謝しきれません)
- Ik weet niet hoe ik u kan bedanken.(何とお礼を言ったらいいか)
Heel erg bedankt(ヘィぅ エァフ ベダンクツッ).
「heel」も「erg」もどちらも「とても(very)」と状態や程度を強調するための副詞で、「Heel erg bedankt=本当にどうもありがとう」という意味になります。何かを強調したいときには「heel erg」のコンボはよく使われます。
もっと強調したい場合は、「Echt heel erg bedankt」とさらに「Echt=本当に(really)」と付けることができますが、ドラマティック(大袈裟?)になりすぎるかなーと思って私は使ったことありません。
無声音なのでカタカナで表しにくかったのですが、子音「g」「ch」は、喉の奥をゴロゴロして空気でうがいするイメージです。
Hartelijk dank (ハぁテルク ダンク).
直訳は「心からありがとう」です。こちらも「本当にどうもありがとう」と感謝の度合いを強調するフレーズです。
Dank je vriendelijk (ダンキェ フリンドゥルク).
何かを丁寧に優しく教えてくれた際などに使う「ありがとう」です。最後の「vriendelijk=フレンドリーな・親切な」という副詞(形容詞)です。
このあたり(「Heel erg bedankt」や「Hartelijk dank」「Dank je vriendelijk」)は、カジュアルな場でもよく聞きます。
以降は、少し長めのフレーズですが、丁寧に感謝を示すことができます。
Ik kan u niet te veel danken (イッカン ウ ニーテゅ フェィう ダンクン).
日本語でいうところの「感謝してもしきれません」の最上級感謝です。直訳は「I can’t thank you too much=感謝しすぎってことはありえない」となります。
Ik weet niet hoe ik u kan bedanken (イク ウェイト ニート フーイク ウー カン ブダンクン).
フォーマルな場で感謝の気持ちを表す言葉が出てこなかったとき、「何とお礼を申し上げればいいか(わかりません)…」とそのまま伝えることがありますが、まさにそれです。直訳は「I don’t know how I thank you=どのように感謝すればいいのかわからない」です。
Ik waardeer je hulp echt (イク ワァディア イェ フぅプ エヒツッ).
相手の配慮や骨折りに対して「本当に助かりました!」のように使います。直訳すると「あなたの助けは本当に価値が認められます」です。
ありがとうに対する返答の仕方
日本語でも「ありがとう」とお礼を言われたら「どういたしまして」「いえいえ」と何らかの返答をしますが、もちろんオランダ語にも「ありがとう」に対する受け答えがあります。
むしろ「どういたしまして」の方がパターン多いかも
さらっと返せるように何パターンか覚えておきましょう。
- Graag gedaan.(どういたしまして)
- Alsjeblieft. / Alstublieft.(どうぞ・どういたしまして)
- Geen dank.(礼には及びません)
- Niets te danken.(お気になさらず)
- Altijd.(いつでも)
- Geen probleem.(いえいえ)
- U bent welkom(どういたしまして)
- Het was mij een genoegen.(とんでもないです)
バリエーションが多いですが、語感やニュアンスは割と英語と似てますね。
Graag gedaan (フラーへダーン).
感謝に対するシンプルな「どういたしまして」です。ニュアンスは「喜んでやりました(willing to have done)」みたいな感じ。
Alsjeblieft(アルシェブリーフツッ). / Alstublieft (アルスツウブリーフツッ).
オランダ語で最頻出単語の1つなんですが、初心者には少し長いので勢いよく音で覚えてしまいましょう。
後者は例によって相手に敬意を示す「u」です。宅配便とかもフレンドリーに「Alsjeblieft」って渡されるし、自分では口頭では使ったことないです。
ありがとうの受け答え「どういたしまして」だけでなく、英語で言う”please”の役割をもち、「どうぞ(物を渡す)」「どうぞ(案内する)」「どうかお願いします」の意味でも使われる汎用性の高いフレーズです。
旦那さんに日本語で「ありがとう」って言ったら「どうぞ~」って返ってきてた理由がわかった。
Geen dank (へィンダンク).
Niets te danken (ニーツ トゥ ダンクン).
カジュアルでは「全然いいよ」、フォーマルでは「お礼には及びません」「お気になさらず」といった意味合いで使われます。
直訳すると「No “thank” =”ありがとう”は不要」「Nothing to thank=感謝することは何もない」です。
ちなみに「謝らなくていいよ」は「Geen Sorry(ゴメンなんて言わないで)」
Altijd (アぅタイド).
Geen probleem (へィン プロブレィム).
英訳のまま、「Altijd=Always=いつでも(お安い御用です)」「Geen probleem=No problem=いえいえ(問題ないです)」という意味になります。覚えやすいですね!
U bent welkom (ウ ベント ヴェルコム).
こちらは英語ではよく聞く「You’re welcome=どういたしまして」ですが、オランダ語verではフォーマルで丁寧な表現となっています。
ホテルや機内サービスで聞くことはあるかもしれませんが、私自身は使う機会がないかもしれません。
どことなく上品な感じ
Het was mij een genoegen (ヘット ワス マィユン フヌーヘン).
一語一語に分解できず、フレーズでまるごと覚えるしかないですが、日本語でいう「とんでもないです」「こちらこそ光栄です」などにあたります。
日本語と同様に、友人たちと日常会話で使うことはあまりありませんが、ビジネスではよく使います(後ほど例文で紹介しています)
オランダ語のさまざまな「ありがとうシーン」会話例
大半は「ありがと!」「全然いいよ!」のシンプルコンボで済ませて大丈夫ですが、それ以外ではこんな感じ(↓)で使われます。
A: Bedankt voor je hulp. (手伝ってくれてありがとう)
B: Graag gedaan! Altijd bereid om te helpen. (いえいえ!いつでも喜んで)
A: Heel erg bedankt voor het oppassen op de kinderen gisteren. (昨日は子供たちを見ててくれてありがとう。)
B: Geen probleem, het was leuk met hen.(全然!楽しかったよ。)
A: Hartelijk dank voor uw medewerking aan dit project.(このプロジェクトへのご協力に感謝いたします。)
B: Het was mij een genoegen.(こちらこそ光栄です。)
A: Bedankt voor je moeite, alles ziet er perfect uit.(ご尽力ありがとう、完璧だよ。)
B: Geen dank, fijn dat het naar wens is.(お礼には及びません。満足してもらえて良かったです。)
A: Bedankt voor de pasta.(パスタごちそうさま。)
B: Niets te danken, gefeliciteerd met het slagen.(いいのよ、卒業おめでとう。)
覚えてくと何かと便利な「ありがとうフレーズ」まとめ
いろいろ紹介しましたが、ひとまずは以下を覚えておけば、何だかんだでいろんなシーンに対応できると思います。
- Bedankt.(ありがとう)
- Dank je wel. / Dank u wel.(どうもありがとうございます)
- Alsjeblieft. / Alsublieft.(どうぞ・どういたしまして)
- Graag gedaan.(どういたしまして)
- Dank je wel voor alles.(いろいろとありがとう)
- Bedankt voor モノ・コト・プレゼント.(~ありがとう)
これだけでも少しのオランダ語を使ってみるのと、英語のみを使用するのとで印象は全然違います。
お互い母国語を学んでくれてるってだけで嬉しいですよね
ありがとうやあいさつは自分から発しやすいですし、相手との距離も縮まりやすいので、是非たくさん覚えて使ってみてください。