Groningen州にある「あざらし保護施設」が日本人に大人気ということで、現地オランダでは、日本語で埋まったライブ配信コメ欄や団体の活動状況がニュースでちょいちょい流れてます(もちろんポジティブな報道ばかりです)。
今も23時近くでライトを落として映像ほぼ真っ暗なのに2,000人くらいがバンホーテン(ココア)の話をしています。
てな感じで、みなさんアザラシだけでなくてオランダの文化や人、言語、食べ物にも興味を持ち始めたみたいなので、「それオランダ語で何て言うの?」特集を勝手に組んでみました。
第1回で終わりですが。
スマホの方は、設定でキーボードにオランダ語を追加しておけば「予測ワード」で打てます。ある程度スペルを覚えればコピペよりも早くて楽です。
コピペで使えますし、今回は発音や文法はすっ飛ばして、意訳や文化的背景の解説をところどころに入れてます。勉強じゃなく、おつまみ感覚でオランダ語をお楽しみください。目次の好きなところからどうぞ。
茶道部員のライブチャット交流
今は日本人が大半を占めてるんですが、それまでは1日に30~100人くらいの訪問者がいたみたいです。なので、お互い配慮しあう・興味を持ち合えるようなグローバル仕様になっていけばよいですね!
オランダ語の基本のあいさつ
あいさつだけでコメ欄が埋まるのもアレですが、とは言えコミュニケーションはやはりあいさつから。ということでチャチャっと覚えちゃいましょう。
フォーマル過ぎずチャラ過ぎず24時間使える
- Hallo:ハロー
- Hoi:こんちゃ
- Hey:やあ
- Goededag:こんにちは
特定の時間帯のあいさつをしたい場合
- Goedemorgen:おはよう(ございます)
- Goedemiddag:こんにちは
- Goedenavond:こんばんは
‘Goededag’はいつでも使える「こんにちは」です。オランダに来たばっかりのころは、自分から先にあいさつする時は全部 ‘Goededag’ にしてました。(相手が先にあいさつしてくれた場合はオウム返しして発音練習w)
入退室報告「仕事行ってきます」「癒されに来た」
この報告見るの地味に好きです。
入室時
- 今お昼休みー:Nu lunchpauze!
- 休憩がてら来た!:Ik kwam even langs tijdens de pauze.
- 癒されにきた:Ik kwam hier voor wat ontspanning.
- ひと目見に来ました:Ik wilde ze even zien.
- 柔道クソ過ぎてクールダウンしに来た:Judo was zo frustrerend, ik kwam hier om af te koelen.
Judoの部分を、上司(baas)や仕事(werk)などイライラしている対象に置き換えることで使い回せます。
退出時
- もう寝ます:Ik ga nu slapen.
- また明日ねー:Tot morgen!
- もう行かなきゃ。またね。:Nu moet ik gaan. Tot zien.
- 大雨の中、仕事行ってきます:Ik ga werken in de stromende regen.
退出時は、覚えておいて損はない決まり文句の組み合わせがほとんどです。
あざらしへの呼びかけやラブコール
園児たちがコメ欄を読むわけじゃないんですが、みんなで話しかけたり応援したりしようよーってシーンは、直近の配信コンテンツでも結構見かけますよね。
まずは幅広く使える一言フレーズから。
- ようこそ!:Welkom!
- かわいい~!:Schattig!
- おめでとう!:Gefeliciteerd!
- がんばれ!:Kom op!
- がんばってね~!:Succes!
- よくやったね!:Goed gedaan!
Kom opは、英語でいうCome onです。何らかの達成(ゴール)に向かってカモン!って感じで、もちろん餌付け訓練でも使えます!
Succesは、文字通り成功を祈るって意味合いなんですが、カジュアルに「がんばって~」って使うこともできます。Kom opは何かの最中の応援で、Succesはこれからの挑戦への応援って違いです。
応用するとこんな感じ
- 本当にかわいいね!:Zo schattig!
- 進級おめでとう:Gefeliciteerd met je promotie!
- 卒業おめでとう:Gefeliciteerd met je afstuderen!
- 体重測定がんば~:Succes met de weging!
- 癒される~:Zo rustgevend!
- ぽよぽよしててかわいい:Zo lekker zacht en schattig!
- コロコロしてるのかわいい:Zo schattig hoe je rolt!
「ぽよぽよ」とか「コロコロ」とかの擬態語は日本特有なので、翻訳するのはホントに難しいです。
日本語ってマジ便利
餌やりタイム・餌付け訓練
- 召し上がれ:Eet smakelijk
- おいしいねー:Lekker eten, hè?
- がんばれ、できるよ!:Kom op, je kunt het!
- よくやったね、ちびすけ!:Goed gedaan, kleintje!
ちなみに、Eet smakelijkは、自分が食べ始める時にも「いただきます」って感じで使います。人に言うと上記の通り「召し上がれ」とか「Enjoy your meal」です。
病気やケガの治療と療養
- 大丈夫、うまくいくよ:Komt goed.
- おだいじに。元気になってね。:Beterschap!
- 強くいてね!:Blijf sterk!
- ホントに頑張り屋さん!:Je bent een echte vechter!
- ゆっくり休んで:Rust maar lekker uit
- またすぐ元気になるよ!:Je wordt snel weer beter!
Komt goed.は、人に使う時は励ましになるし、応援や心配されたときの返しとして「大丈夫、心配しないでー」って感じ使えます!
あざらし幼稚園の用語をオランダ語で表現してみる
日本語の言葉遊びや文化的な表現をそのままヨーロッパ言語に移すのは難しい部分もありますが、できるだけそこを保ちつつ以下のように翻訳してみました。
園児(あざらし)たちの描写
- あざらし:Zeehond(en)
- 野ざらし:Zonzeehond
- 茶柱:Theepilaar
- 茶柱会議:Theestokje conferentie
- 新入り:Nieuweling(もしくはニューカマー:Nieuwkomer)
- バーカウンター:Barbalie(英語のBar counterでも通じます)
- ファン茶:Fan Theevice
- 足湯:Voetenbad
ちな、Theeviceは「Thee:お茶」と「Service:サービス」を合わせた造語です。「Thee(茶)=あざらし」が浸透していること前提ですが、そこをクリアしていればオランダ語ネイティブにも遊び心のある表現として受け取られると思います。
思いついた時一人で勝手に興奮しました
野ざらし(Zonzeehond)は、意味合いは変わりますが「日向ぼっこしているあざらし」をイメージさせるワードです。
茶柱は難しいので敢えて直訳で作っちゃいました
無理にオランダ語での自然さ(意訳)と日本語のユーモアを維持しようとすると、どうしてもイメージとしての直立泳ぎ感が出せなかったので、もう日本語を「茶の柱」と意味を分解して、そこから直訳する形をとりました。
- Theepilaar:茶の柱(圧倒的直訳)
- Theespriet:茶の茎(そもそも茶葉じゃなくて茎だよねという)
- Theepaal:茶のポール(電柱:telefoon paal、街灯:lantaarnpaal)
- Theestokje:茶の小さい棒(ニュアンスとしては「小さな茶の柱」)
言葉から「茶柱」のようなイメージを持たせられるのはこのあたりです。直訳とニュアンスを見て、お好きなのをどうぞ!!!
オランダでは、人の名前や名詞の語尾にtje/pje/djeなどを付けると、小さいものやかわいいものを表現する愛称になります。日本だとお布団とかお財布みたいな感じ。
stok=棒ですが、stokjeにすると「小さな棒」となって、かわいさが増す感じです。ということで、茶柱会議には「Theestokje conferentie」を勝手に採用。
ちなみにオランダでは「茶柱=単なる茶葉」と誤解されている模様
現地のニュースでは、日本特有の絵文字文化を紹介するとともに、湯呑とアザラシの絵文字について解説が入ってたのですが、「日本では、お茶を淹れた時に茶葉が浮いてたら縁起がいいみたいで、ライブチャットにこの絵文字いっぱい書いてくれてますっ!!」とスタッフからのコメントが。
「茎がまっすぐに」とか「アザラシの立ち泳ぎ」とかって表現は聞こえてこなかったので、ワンチャンわかってないかもと思ってたんですが、後日またラジオで流れたときも「日本人がプールで泳いでいるアザラシを茶葉にたとえて見てる」って感じで言ってたので、「茶柱」までは伝わってないみたいです。
うちのオランダ人ダンナも仕事中にラジオでこれ聞いたって言ってたので、「ちなみに茶柱ってこれね」ってグーグル画像見せたら全然想像と違ったみたいで、やはり「湯呑のお茶っぱ=ラッキー」と思ってたみたいです。
オランダでも東南アジアの茶葉は売ってますし、緑茶が好きな人も結構いますが、急須で淹れる人はそんなにいなさそう。なので、そもそも茶葉がカップに混入すること自体をラッキーと捉えるのも間違いではないですなー。
幼稚園生活(入園から卒業まで)
- 幼稚園:Kleuterschool
- 幼児:Peuters
- 園児:Kleuters
- 年少さん:Jongste kleuters
- 年中さん:Middelste kleuters
- 年長さん:Oudste kleuters
- 年少クラス:Jongste klas
- 年中クラス:Middelste klas
- 年長クラス:Oudste klas
- 進級:Het overgaan(自然に「次の学年に進む」という意味の動名詞)
- 卒業:Afstuderen
日本の幼稚園での「年少・年中・年長」の分類は、オランダの教育システムに直接対応させられないので以下少し説明を。
というのも、オランダは義務教育が4歳から始まり、小学校(Basisschool)は4歳から12歳まで8年間あります。それより前の2歳半から4歳までの間は、Peutereszaal(直訳:遊びグループ)と呼ばれる学校(託児所ではない)に週2,3回通い、オランダ語を上手に話すこと、一緒に遊ぶこと、先生の話を聞くことなどを遊びや歌を通じて学びます。
てなわけで、上記の訳では、日本語の3段階と沿うように「Jongste:年少の・ジュニアの」「Middelste:年中の・ミドルの」「Oudste:上級の・シニアの」とグループ分けをしたのですが、オランダでは年齢に応じて以下のように表現されるのが一般的です。
- 3歳児:Peuters(幼児)
- 4歳児:Jongste kleuters(若い幼稚園児)
- 5歳児:Oudste kleuters(年長の幼稚園児)
- 6歳以上:Schoolkind(小学生)
まぁそんなに年齢グループを正確に表現する機会がどれだけあるかわかりませんし、間違ったところで誰も気にしなさそうではあります。
Peuters< Kleuters< Kind の認識で十分す
オランダの入園・卒園の習慣
オランダでは、日本での入学式や入園式のようなセレモニーはありません。というか、4歳になったタイミングで学校に通い始めるので、すべての生徒が一斉に入学するわけでなく、各自の誕生日に合わせて順次入学していきます。
卒園式も同様に無く、次のステップに進むことを家族や友人と一緒にお祝いするケースがほとんどです。形式的な儀式や式典を重視する文化ではないのもそうですが、そもそも「学年の進行とか進級なんて自然な流れじゃん!」と日常の延長線上のように考えられているようです。
中等教育(義務教育)が終わるときには各学校で卒業式がありますし、小学校の最後の年(8年生)には小学校生活の終わりを祝うパーティーがあるみたいです。
カジュアルなパーティーイベントは大好き
白湯と鶏白湯、その他のユニークな専門用語
後ほど解説する「白湯」と「鶏白湯」以外は、ほぼ直訳通りでユーモアも意味も通じると思います。
- 茶道部員:Theeceremonieleden
- 茶渋:Thee-aanslag
- 茶漉し:Theezeef
- カモメ監視員:Meeuwbewaker
- サギ園長:Reigerdirecteur
- 白湯:Helder water(綺麗な水)
- 鶏白湯:Kipsoep(鶏スープ)
- 茶摘み:Theepluk
さて、「白湯(さゆ)」と「鶏白湯(鶏パイタン)」は、日本語を日本語で理解できる人にしかわからないトリッキーなコンボなのでどうしようもなく…!
まず白湯は、あざらしが一匹もいない空のプール ⇒ きれいな澄んだ水(Helder water)としました。これは自然の湖や川のほか、きれいに保たれたプールの水などにも使われるので、まぁ伝わりそうかなと!
鶏パイタンは苦しまぎれの鶏スープ…。ここのおもしろさは白湯があってこそなので、聞いてもイマイチというかむしろ「日本人めちゃ残酷やん、カモメでも何でも食べるんかさすがやん…」とかなりそう。
なので、細かいこだわりですが鶏肉のみを指す「Kip」を採用、ほかの鳥全般の場合は「Vogelsoep=鳥スープ」と言いますが、何かマニアックなグルメに聞こえますね。
こっそりChatGPTにいい案がないか聞いてみた
あざらし幼稚園の背景をインプットさせ、他にもおもしろい表現が作れないか聞いてみました。
- お茶会:Theekransje=あざらしが一箇所に集まってくつろいでいる
- スリープモード:Slaapstand=あざらしがじっとして動かない
- 温泉タイム:Spa-moment=あざらしがプールの中でリラックスしてる
- ごろごろタイム:Rolmoment=あざらしがプールサイドで転がってる
- ナイトキャップ:Nachtmuts=夜にあざらしが落ち着いている
- アフタヌーンティー:Middagthee=午後にあざらしが活発になる時間
- ミニオン集会:Minionbijeenkomst=小さいあざらしが集まっている
- プールサイドチャット:Zwembadkantgesprek=あざらしがプール岸で集まっている
ユニークかどうかはさておき普通に使えそうです。
個人的にはアフタヌーンティーが紅茶と日本茶のコラボっぽくて好きです
施設のスタッフに向けたあいさつやメッセージ
まずは、何においても「感謝」ということで、基本のありがとうフレーズから。どれも丁寧だけどカジュアルに使える表現です。
- Dank je wel / Dankjewel
- Bedankt
- Dank jullie wel(皆さんありがとう)
- Hartelijk dank(心から感謝)
いろいろな感謝の伝え方とその返答(どういたしまして)は、こちらの記事にガッツリまとめたので、ご興味がある方はどうぞ。全フレーズにそれっぽいカタカナ発音と音声も付けました。
具体的な感謝のメッセージ
応用編として、何に対して「ありがとう」なのか具体的に書くとこんな感じになります。
- Bedankt voor het redden van deze lieve zeehonden!:可愛いアザラシを救ってくれてありがとう!
- Bedankt voor de liefdevolle verzorging.:愛情あふれるお心遣いに感謝です
- Bedankt voor al het harde werk achter de schermen.:舞台裏でのすべての努力に感謝します。
- Dank voor het delen van deze prachtige momenten met ons.:この素晴らしい瞬間を共有してくれてありがとう。
- Bedankt voor alles!:何もかもありがとう!
Bedankt voor alles!以外はちと長いですし、追々オランダ語に興味が出てきた時でいいと思います。
労いの気持ち「おつかれさま」
日本語の「おつかれさまです」に直接対応するオランダ語はないのですが、似たようなニュアンスで労いの気持ちを伝えるために使えるフレーズはいくつかあります。
- おつかれっす:Werk ze!
- 頑張ってるね / イイ感じっすね:Goed bezig!
- お疲れさま(いい仕事したね):Lekker gewerkt!
- お疲れさまでした(労力に感謝):Bedankt voor je harde werk!
Werk ze!は、仕事中の人(その日にまだ仕事をする人)に向かって言う「お仕事頑張ってね!」って意味なんですが、日本であいさつっぽく使う去り際での「おつかれ」に似てると思いました。
日本だと「おつかれ!」「おつ~!」ってお互い言うのに対して、オランダだと「ありがと!」って返ってくるので労いの意味の方が強いんですが、使うタイミングが日本のそれ。
お昼ごろの宅配便のオジサンによく使ってます
スラングではないですが、教科書にもなかなか載ってないですし、これが言えるとオランダ人です!
配信コンテンツに対するコメント
- (この配信を)待ってたー!:Ik keek uit naar deze livestream!
- このコミュニティは最高:Deze community is de beste.
- すばらしいアイデア:Wat een geweldig idee!:
- 笑っちゃった:Ik moest zo lachen!:
みなさん良きあざらしライフを
やっぱ言葉って人の心を繋ぐものでして、一言でも母国語を聞くとコミュニケーションの取り方もガラッと変わります。英語を話せようがドイツ語に似ていようが、ほとんどのオランダ人が好むのはやはりオランダ語ですし、ドイツ人が好むのはドイツ語です。
オランダ語は、英語やスペイン語、フランス語と比べるとマイナーな言語なので、日本には教材も数えるくらいしかなく、まずそこで折れそうになりますが… ( ´∀` )
興味本位で軽~く入門って感じならDuolingoとニューエクスプレスの参考書がおすすめです
あざらしブームが来てから、最近はコメ欄を覗くと、オランダやオランダ語に興味を持っている方がちらほら出てきたので嬉しい限りっすー。仕事の合間にオランダ語やオランダに関する情報(Q&A方式とか)を更新していこうと思いますのでよろしくです (*’ω’*)
明日から夏季休暇でスロベニア行ってきます
みなさんも社畜になりすぎずマイペースにお過ごしください。良きアザラシライフを(=゚ω゚)ノ