市民化テスト「KNM(オランダ社会の知識)」の受験記録【2024年7月新システム】

Inburgering(市民化統合プログラム)に必須試験の一つ「KNM(オランダ社会の知識)テスト」を一昨日受験してきました。オランダ語の方は全セクションクリアしたので試験としては残り最後です。

忘れないうちに試験概要や対策方法などを簡単にまとめておきます。

目次

KNMとは?

KNM(Kennis van de Nederlandse Maatschappij)は、直訳通り「オランダ社会の知識」が問われるテストで、市民化統合プログラムの一環として実施されます。

主なトピックは、オランダでの規範や価値観のほか、オランダの歴史、教育制度、医療制度など、要はオランダで長期的に生活していく上で必要になる一般常識です。

たとえば、、、

  • 頭痛薬が欲しい時は、まずどこに連絡すれば(行けば)いいのか?
  • 賃貸の場合、電気やガスはどのように契約するか?
  • 健康保険における「eigen risico」とは何を意味するか?
  • 第二法廷(Tweede kamer)の議席はいくつ?
  • Limburg州の州都はどこ?
  • 大学進学の助成金についてはどこに問い合わせる?

日本の感覚で通用するところもあれば、全く違うこともあります。

KNMの試験概要

KNMは、45分間で計40問の選択肢問題に解答する機械採点テストです。ヘッドセットを付け、パソコンに向かって受験します。

KNMの試験形式
  • 試験時間:45分
  • 設問数:40問
  • 正答率60%で合格(24/40問)

オランダ生活での日常的なシチュエーション(たとえば移民者Moとオランダ人Willemが職場の給湯室で話しているなど)がショートビデオで流れ、そのあとに4~5問の選択問題に解答していきます。

KNM Examen

YouTubeでは40問の設問のみで、登場人物と彼らが置かれている状況を説明する「ショートビデオ」がスキップされています。

KNMの受験に求められるオランダ語レベル

KNMの試験では、正しい知識を備えていることに加えて、設問そのものを理解するのにA2レベルのオランダ語(リスニングとリーディング)が必要とされています。

ショートビデオと各設問の導入部分は、音声と映像(or 画像)のみで説明され、音声スクリプト(テキスト)は表示されません。音声スピードはそんなに速くないので、B1の試験をクリアしている方であれば難なくクリアできると思います。

政治とか行政サービスの聞きなれない用語が流れると、一瞬「んっ?」と固まりますが…

まだリスニングが苦手という方は、テキストだけでなくKNMに関する内容を動画で学ぶといいかと思います。YouTubeに結構転がってますが、移民者向けに解説してくれているので、英語字幕を付けてくれていたり説明もゆっくりでわかりやすいです。

KNMを受験してみた所感

6割取れれば合格という観点では難しくなかったですが、ノー勉だとギリギリアウトなんじゃないかなーくらいの程よい難易度でした。

YouTubeだと勝手に問題が進んでいくのですが、本番では自分でコントロールして次の問題に進めていきます。よくよく見ると、10秒送り/戻しのボタンが付いてるし一時停止もできそうです…。

KNM Oefenexamen 1

10分くらい余った見直し時間で、最初の方の問題に戻ったときに再度問題音声が流れてきて、そこで初めて何度も聞き直せることを知りました。急いで自信のなかった問題を再度トライしようと思ったのですが、チェックマークをつけてなかったのでどの問題だったかパっとわからず…。

それと、前日に丸暗記した地理分野からは1問も出ませんでした

KNMの試験対策で使用したテキスト

とのことで『Welkom in Nederland Kennis van de Nederlandse maatschappij voor het inburgeringsexamen』をお借りしました。

Boom NT2

普通に買うと結構高い…

ざっくり目次
  • 第1章:オランダを知る:地理(人口、面積、地名、水)・気候
  • 第2章:オランダの人々:祝日、冠婚葬祭、交流・コンタクト
  • 第3章:健康とヘルスケア:GP、病院、薬、救急、健康保険
  • 第4章:住居:家を買う借りる、光熱費、ゴミ分別、住民税、各種保険
  • 第5章:行政サービス:警察、市役所、税務署、移民とパスポート
  • 第6章:教育:チャイルドケア、教育の自由、スクールシステム、保護者会
  • 第7章:仕事:職種、ボランティア、給与支払い、求人情報、所得税
  • 第8章:社会:自由と平等、宗教、性教育、法令禁止事項
  • 第9章:オランダの歴史
  • 第10章:政治:王室、政府と議会、選挙、憲法

KNMでの全トピックを10章でカバーしています。これを朝起きてコーヒーを飲みつつ20分読み、昼ご飯を食べながら20分くらい読み進め、夜の空いた時間や休日にまたパラパラ進め…とやってたら2週間くらいで1周終わりました。

語学試験で培った語彙と読解力も役立ちました

すでに2年近くオランダに住んでいたというのもあって、オランダ文化やオランダ人の感覚が自分にも馴染んできていたのか、「何となく知ってる」「何か前に聞いたことあるかも」っていう内容も割と多かったです。

私はスキップしましたが、各章の最後には、単語リストとリーディング・リスニング、ライティング、スピーキングの練習問題(音声やビデオはWebサイトに掲載)もあり、語学試験セクションも対策できるオールインワン教本となっています。なので、A2を受験する方は「一冊ポッキリ」と考えると安いかもです。

オランダ人や政府が見る市民化プログラムの重要性

都市部に住んでて英語だけで生活できている人、ビジネス目的でオランダに来ている人からすると、KNMはかなり面倒な試験なようです。(って話をよく聞きます。)オランダ人でも満点を取れるわけではないですしね。日本人だからって日本の行政サービスをすべて頭に入っているわけではないですし。

ただ、試験形式やその内容の妥当性はさておき、多くのオランダ人は移民者が市民化プロセスを通じてオランダ社会に溶け込むこと大いに期待していることをお忘れなく。

オランダ人は一般的に多文化主義を尊重しますが、同時に移民者がオランダの価値観や習慣を尊重することも重視しています。KNMを含めて市民化プログラムへの消極的な態度は、文化的な適応や共生の意欲が低いと見なされてしまうかもしれません。

実際に、移民政策厳格化の計画からもわかるように、多くのオランダ人は現地の文化やルールに倣ってくれない移民にうんざりしてるようです。

まー、住みやすいビジネスしやすいで移住してきて、外国人居住区があちこちにできたら嫌ですよね。逆の立場だったとして。

一方で、オランダ語や文化の理解に努める移民者に対してはとっても親切でフレンドリー。他のオランダ人と同等に接してくれます (*’ω’*)

ということで、多文化の共生を断絶しないためにも、後に続く移民者のためにも、既に居住許可を得ている私たちが現地の文化慣習や多様性を尊重し、Integration(統合)への積極的な姿勢を示すことが重要だと考えています。

最後は個人的見解でしたが、今回はこんな感じで (=゚ω゚)ノ

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