オランダ市民化テスト(Inburgering B1プログラム)を修了しました

市民化テスト全部終わりましたー。

最初のオリエンテーションから修了通知をもらうまで、記録と記憶があるところをまとめましたんで、多少なりとも参考になる人がいることを願ってます。

目次

オランダの市民化テストについて。統合義務とは?

市民化テストは、Inburgeringveplicht(統合義務)の一環でクリアしないといけない試験のことです。inburgering=integration=統合なんですが、日本人には確かに「市民化」の方がしっくりきますね。誰が言いだしたのか、良い和訳です。

統合とは、簡単に言うと「移民者がオランダ(の人・生活・社会)に馴染む」ことです。移民者はオランダに馴染む努力をし、オランダは移民者を受け入れる努力をする。これが義務とされています。

その努力ってのが、「オランダの言語や文化、社会について学ぶこと」で、これを体系化したのが「Inburgering(市民化統合プログラム)」です。移民者は期間内にInburgeringのPIP*(パーソナルプラン)を修了すること、地方自治体は個々のPIPの作成や進捗をサポートすることが義務付けられています。

*PIP=Persoonlijk plan Inburgering en Participatie(統合と参加のためのパーソナルプラン)

とまぁ、オランダ生活に馴染むのに積極的な人にとっては有難いサポートでして。内容は多少異なりますが、フランスやドイツでも何かしら統合の取り組みがあるみたいです。

ヨーロッパってしっかりしてるのなーって印象

そこそこの割合でメンドクサイって人もいるんですが、国外からふらっと来てオランダ人と同等の市民権を行使してるわけなので、このくらいは文句垂れずにやってもよくね?て感じではあります。

市民化統合プログラムの開始から終了までの流れ

市民化統合プログラム(以下Inburgering)は、文部科学省のDUO*管轄で実施されますが、個々の市民化を適切に進めるにあたっては地方自治体がサポートすることになっています。住民票のある市役所ですね。

*DUO=Dienst Uitvoering Onderwijs:(文部科学省の)教育実施部門

Inburgeringの開始から終了までの流れ

  1. BSNの取得
  2. オリエンテーション
  3. 学習能力テスト
  4. PIPの内容を確認して合意のサイン
  5. PIPをクリアした時点で終了

ちなみに、1~4(BSNを取得してからinburgeringが開始されるまで)で5ヶ月くらいかかったのですが、このあたりは時期や新規移民数、あと担当者の仕事ぶりによって変動するかと思います。

私がBSN登録をしたのは2022年11月下旬でしたが、コロナ明けのスタッフ不足やロシア-ウクライナ戦争からの難民増加もあり、ビザ申請にはじまってお役所関連の処理はぜんぶ聞いてたよりも時間がかかりました。

DUOから通知が届く

さて、BSNを取得して数週間ほど経つと、DUOから「あなたはInburgeringの対象ですよー」っていう通知がポストに届きます。

オランダの法律にはInburgering法ってものがありまして、地方自治体がDUOと地方自治体はこれを実施し、あなたには統合義務があります。Inburgeringってのはこういうもので、、、あとは地方自治体がサポートしてもらってね。Webサイトにも情報まとまってるよー。

この通知に対しては特に何もすることはなく、地方自治体から次の案内を待つのみでOK。Inburgeringに関する情報サイトはこちらです。「U gaat inburgeren」と「Examen doen」に目を通しておくといいかも。

オリエンテーションと学習能力テスト

ここからは自治体によって進め方が違うかもです。以降は、Gemeente Goudaにおける経験談となります。

地方自治体から最初の案内が届き、指定の日時に訪問するように言われます。担当のコンサルタントからInburgeringについての説明を受け、PIPを組むためのパーソナルデータを登録するのが主なミッションです。

大体こんなこと聞かれます

  • 最近どう?困ったことない?
  • 個人情報(国籍、保有ビザ、連絡先、家族情報など)
  • 学歴と職歴、言語スキル
  • 今は仕事してる?生活費はある?
  • 語学学校はどこにする?
  • 今後について何か計画してる?実現したいことは?
  • 質問ある?

さらに、この数週間後に「学習能力テスト(Leerbaarheidstoets)」の案内が別途届き、指定の時間と場所に出向きます。テストといっても試験でなく、指示通りにマウスを操作してパズルを完成させるみたいな簡単な適性検査です。

脳を鍛えるトレーニング系の簡単なバージョン

最初のオリエンテーション面談とこのテスト結果を見て、担当コンサルタントがPIP(パーソナルプラン)を作成します。

…とあるのですが、カリキュラムにそこまで大した差は出ないと思います。世帯所得によって語学スクールに通うための助成金が出たり、ディスレクシア(失読症)でオランダ語試験が一部免除されたり、学習スピードによってはカリキュラムを5年で組んだりとかはあるみたいです。

何ごともなければB1ルートと告げらます

PIPにサインをしてプログラムスタート

適性テストから1か月半くらいすると「PIPができたので来てくださーい」と再び市役所に呼び出され、課される語学試験(B1)や講習、期限の延長条件など、コンサルタントからPIPの説明を受けます。

で、登録したパーソナルデータに間違いがないかを一緒に確認し、「このプランは本人同意のもと作成されたものである」っていう宣言にお互いサインをするとInburgeringがスタート。ここから3年以内に終了させます。

市民化のために課せられるテストや講習など

PIPにはこんな感じで記載されてました

  • B1ルートでスタートし、3ヶ月毎に進捗面談をします。
  • MAP(労働市場と参加)に関することを学びます。
  • PVT(参加表明プロジェクト)の短期コースを受講します。
  • 少なくとも3回の面談があります。

B1ルートには、オランダ語B1の試験とKNMの試験が含まれております。(3 Leerroutesを参照

MAPとPVT、面談はインビテーションレターが来るのを待つのみですが、試験は自分で申し込む必要があります。

オランダ語KNMの試験

オランダ語の試験は、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4セクションに分かれており、それぞれ別途申し込みが必要です。一つずつクリアできるので楽ですね。それぞれ得点率60%が合格ラインとなります。

Mijn inburgeringにログインすると、申し込みがオープンになっている試験の受験申し込みを行うことができます。本年の試験日程はこちら

Mijn inburgeringのログインや試験の申込みには、DigiDの認証を通す必要がありますので、準備をお忘れなく。

各セクションの対策については以下の関連記事からどうぞ。

リスニングは、試験日程的に準備する時間がほとんどなかったのと、スクリプト付きの対策本が見つからなかったので、簡単なニュース見たりするくらいしかしてません。

KNMテスト

KNMテストは、Kennis van Nederlands Maatschappij=オランダ社会の知識が問われる試験です。語学試験と違って各試験会場でしょっちゅう開催しており、またPVTで習う内容も被っているので、気が向いたタイミングで受けちゃっていいかと。

参加表明プロジェクト(PVT)

1回3時間ほど計4回の短期コースです。オランダ人が大事にしている価値観、人との接し方、ケガ・病気の時の対処、住居の選択やローンのシステムなど、オランダで生活していくためのオランダの人・社会・ルールを学びます。

毎回、名簿にサインするだけでクリアです。

出席するだけで単位くれるやつ

オランダ語、英語、フランス語、アラビア語で開催されてるのですが、おそらく英語グループは人数が多いので、招待レターが届いたころには、もう語学テストは受験し終わってました。

で、これ基本的にワークショップ形式で進んでいきます。男女平等や宗教の自由がない国から亡命してきてる人もいるように、自国の常識・世界の非常識的なやつで、やはり国によって特徴やルールに違いがあるので、そこをトピックごとにシェアしあう感じ。

オランダの労働市場トレーニング(MAP)

なんかコレ免除されました笑。内容としては、オランダでは職業がどのようにカテゴライズされるか、どうやって仕事探しをするか、あとCVの書き方などを学ぶようです。

コンサルタントから「すでにフリーランスとして仕事してるから、面談形式で簡単に済ませるのもアリ」と提案されました。このとき既に他の課題は済ませてて、残るはKNMを翌日に受験するのみだったんですが、「合格通知が来たら連絡ちょうだい。それでMAPと最後の面談を組みましょう♪」って言われました。

早く終わらせたかったぽい

ということで、仕事に関するいくつかの質問と今後の展望などをインタビューされて、MAPとともにInburgeringも終わりました。

定期面談(3~5か月に1回)

最近どう?ってのとオランダ語の勉強はしてる?みたいな進捗を聞かれます。

1回目(2023年10月25日)

オランダ語の勉強はどのくらいやってるかと聞かれて「ボチボチやってます。まぁまだ2年半以上ありますしねぇ…」って答えたら、「そ、そうだけど、時が経つのは早いのよ!?」ってコンサルの人が焦ってました。

さらに「1週間に最低9時間は勉強しましょう。語学学校行ってる人たちが授業を受けてる時間がそれくらい」とアドバイスをいただき、「次はオランダ語で面談できるといいわねっ(プレッシャーwww)!」とのことでした。

2回目(2024年2月14日)

クリスマス休暇を除いた3ヶ月後に2回目の面談。とりあえず自分からオランダ語で話しかけてみました。用意しておいた雑談ネタを交えつつ、学習進捗について説明します。

ライティングの試験の結果待ち中で、リーディングとリスニングは申し込み済み、続いてスピーキングも受験しますよーと伝えました。大事そうなところは一応英語でも説明してもらいつつ、大枠はオランダ語で進められたので、これにはコンサルタントもご満悦。

ボチボチやってます。安心しました?

あとPVT受けたいんですけどまだですか?って聞くと、「(たぶん民間)に委託してるからわからないけど、言語グループごとに開催してるから英語は結構待たないといけないかも」とのことでした。

3回目(2024年7月30日)

前回から5ヶ月以上経過しての3回目。オリエンテーションでは2~3ヶ月に1回って言ってて、初回は3か月に1回、前回は3~4か月に1回って言ってたが????

安心したからって放置しすぎw

もうオランダ語の試験全部クリアしててPVTも終わって、明日KNMだよ。で、先ほどのMAPの話をして終了。

最終回(2024年9月17日)

KNMの結果が8月上旬に出たので、「合格したのでMAPのアポイント組んでくださーい」と連絡したのですが、8月下旬は私がホリデー、9月上旬はコンサル側がホリデーってことでこの日程になりました。

おめでとう(*^-^*) ありがとう(*’▽’)

ってことで、MAPと最終面談を終えてInburgering修了。後日、完了通知を送りますとのこと。

DUOにも通知を送りましたとのこと。DUOからも何か届くらしいです。

オランダ語の語学学校は行った方がいいのか?

オランダ語の勉強方法にはいろいろありますが、選択肢としては大きく以下3つ。

  • 政府認定スクールに行く
  • 政府認定スクール以外に行く
  • その他(自宅で独学、オンラインレッスン、言語交換)

結論、「試験勉強(傾向と対策)が得意で、自分でモチベーション保てる人」はどっちでもよく、そうでない場合は、スクールなどで何かしら強制的に勉強する環境を作った方がよさそうです。

オリエンテーションの時にどうするか聞かれるのですが、何も決まってない人は「政府認定スクール」をとりあえず勧められるかと思います。私もリストだけもらいました。

認定校だと、世帯所得が低い場合に授業料を少し負担してくれたり、試験がうまくいかなかったときに期間を延長出来たりするようです。ちゃんとレベル別の試験対策クラスもあって、講師もその道10年とかのプロなんですが、それだけあって授業料そこそこ高いです。(例:6か月・200時間で3200ユーロ、KNM対策:800ユーロなど)

私は、特に試験対策のためにスクールには行きませんでしたが、週2回ほど語学レッスンなるものには行ってました。というか今も行ってまして「1回2時間・週2回で月額30ユーロくらい」です。

休憩時間はコーヒーとお茶も出ます

講師は全てボランティア(定年後の人が多い)で、レッスンは平日の午前中のみ。試験対策に特化したクラスもないです。個人的には「ネイティブからオランダ語を学べる」「ネイティブに質問できる」「人とコミュニケーションを取る機会がある」というのを目的にしてたので、試験対策は別途自分でやりますかーって感じでした。

そのほか、Taalcafe(言語交換会)に行ったり、YouTubeのオンラインレッスンを観たり、基本的にタダで転がってるものは利用して、試験対策はテキスト買って自分でって感じですね。

いろいろトライしてみて、最終手段で政府認定校を頼るのがいいかも

思ってたより順調に市民化できました。テスト受験はお早めに。

開始から1年3ヶ月ほどで市民化テスト全てクリアしました。正直、オランダ語の試験は失敗するセクションもあるかもと覚悟してたんですが、すんなり通ってよかったです。

Inburgeringは、オランダ語の試験をクリアできるかが全て(他は出席するだけでOK)なので、ここをいかに対策するかだと思います。

とりあえず申し込んでみて「受験料もったいないし勉強しなきゃ」って自分を追いこむのが手っ取り早くておすすめですが、そこは人それぞれペースがあるようですね。失敗したら次の対策を打てばいいし、本番環境がどんな感じなのかまず受けてみるってのが大事かなと。

ちなみに、結果が出てからでないと同じセクションの受験申し込みはできません。不合格だった場合は、次の次の試験でないと申し込めないような日程になってたりします。

一発で合格できないリスクもあるので、半年くらいバッファを付け足して考えておいた方がよさそうです。

補足)オフィシャル市民化統合までの詳細タイムライン

  • 2022年11月28日:BSN取得
  • 2023年1月11日:DUOから案内が届く
  • 2023年2月27日:オリエンテーション
  • 2023年3月17日:学習能力テスト
  • 2023年5月2日:PIPにサインしてinburgering開始
  • 2023年10月25日:定期面談(1回目)
  • 2024年1月24日:ライティング試験
  • 2024年2月14日:定期面談(2回目)
  • 2024年3月5日:リーディング試験
  • 2024年3月26日:リスニング試験
  • 2024年5月29日:スピーキング試験
  • 2024年6月15日:PVT講習1
  • 2024年6月22日:PVT講習2
  • 2024年6月29日:PVT講習3
  • 2024年7月6日:PVT講習4
  • 2024年7月30日:定期面談(3回目)
  • 2024年7月31日:KNMテスト
  • 2024年9月17日:MAPと最終面談
  • 2024年9月21日:市役所から修了通知が届く

こんな感じでしたー。

個人的には「inburgeringがまだ終わってない状態」がストレスだったので、なんか解放された気分です。オランダ語の方は、当面は日常会話の向上を優先しつつ、B2レベルに進めたらなーと思ってます(*’▽’)

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